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2021.10.01 11:00  週刊ポスト

すみだ北斎美術館【3】北斎84歳の再現模型に壇蜜「あっ、動いた!」

葛飾北斎『百物語 さらやしき』すみだ北斎美術館蔵 天保2-3年(1831-32)頃、錦絵、中判。皿屋敷伝説が題材。百物語シリーズは、現在5図確認されている(C)Forward Stroke

葛飾北斎『百物語 さらやしき』すみだ北斎美術館蔵 天保2-3年(1831-32)頃、錦絵、中判。皿屋敷伝説が題材。百物語シリーズは、現在5図確認されている(C)Forward Stroke

 日本美術応援団団長で美術史家・明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・墨田区のすみだ北斎美術館の第3回。2人は、絵に没頭する84歳の北斎の再現模型に驚かされる。

壇蜜:あっ、筆を持つ手が動いた! リアルだなぁ。

山下:絵に没頭する84歳頃の葛飾北斎です。すみだ北斎美術館・常設展示室の「北斎のアトリエ」再現模型は門人が絵に残した北斎の暮らしが模型で再現され、隣は娘の阿栄。「応為」の号で絵を描き、その画才は北斎も認めていました。榛馬場(はんのきばば)の住まいの様子です。

壇蜜:北斎は90回以上も転居した引っ越しマニアとして知られていますね。

山下:北斎は柳島妙見を信仰していたそうで、周辺をぐるぐると転居していました。妙見菩薩は北斗星を神化したもの。北斎は江戸っ子に馴染み深い富士山を多く描きましたが、『冨嶽三十六景』で山を様々な地から眺める視点から、富士山を不動の絶対的な存在として捉えていたのでしょう。

壇蜜:柳島妙見の思想と重なります。自身が何かの中心か、衛星の視点でものを作っていたのかな。まさかこれほど小さな空間から森羅万象を描いていたとは。

山下:描いた絵のサイズも小さいのにその世界は膨大に広がっていく。これほどスケールの大きい画家というのもいないと思います。

壇蜜:漫画の始祖的存在であり、花鳥画、錦絵、肉筆画などジャンルも広い。幽霊画の『百物語 さらやしき』はお皿で体ができている奇抜なお菊さんです。

山下:蛇のような独創的な表現が北斎の奇想ですね。

壇蜜:小さな世界でも想像できることは無限大なんだと、北斎に学びました。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)

●すみだ北斎美術館
【開館時間】9時半~17時半(最終入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜(祝日、振替休日の場合は翌平日)、年末年始
【入館料】AURORA(常設展示室)400円 ※企画展は展覧会により異なる
【住所】東京都墨田区亀沢2-7-2

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年10月8日号

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