とりわけ影響が大きいのは自民党神奈川県連である。甘利氏は先の総裁選で、同じ麻生派で神奈川選出の河野太郎氏ではなく、岸田氏の支援に回った。そうして幹事長の座を射止めるとともに、神奈川選出で甘利氏の腹心とされる山際大志郎氏と田中和徳氏を、それぞれ経済再生相、幹事長代理という要職に就かせた。一方、敗れた河野氏は広報本部長に“降格”、河野氏を支援した菅義偉氏、小泉進次郎氏も無役となり、それまで神奈川県連の中枢を占めていた一派は揃って冷や飯を食わされることになった。
一躍、甘利氏が“神奈川のドン”となったわけだが、このままでは選挙後にその座も危うくなりかねない。河野、菅、小泉の3氏とも自身の選挙区では盤石で、河野氏の15区について読売は〈知名度抜群の河野が安定した戦い。他候補の応援で地元にはほとんど入らないが、支持基盤は揺るがない〉と報じており、甘利氏との差は歴然だ。神奈川県連関係者は言う。
「応援演説でも、甘利氏より河野氏に来て欲しいという声が圧倒的です。2人は麻生派の跡目を争うライバル関係で、総裁選では明暗が分かれましたが、選挙後には“やはり顔としてふさわしいのは河野”と幹事長交代を求める声が上がるかもしれません」
【表の見方】
289選挙区の当落予測は10月12日時点の情勢をもとに作成、10月15日に配信したものである。その時点から候補者が変わっている選挙区がある。初出時の掲載基準は以下の通り。原則として、公職選挙法に基づく政党要件を満たす政党が公表する各選挙区の支部長、公認予定・内定者、また無所属での立候補の可能性がある者を掲載した。現段階で党の支部長が決まっていないが、候補を立てれば当選の可能性がある場合、(未定)として枠を設けた。「現」は前回衆院選で同じ小選挙区で当選した議員、は比例当選の現職議員。本誌取材により、当選可能性が極めて低いとされる公認予定・内定者、無所属、諸派は掲載を見合わせた。
予想は当選する可能性が高い順に○→△→▲→無印で記した。/表中敬称略。
政党名は、自=自由民主党、公明=公明党、立憲=立憲民主党、共産=日本共産党、維新=日本維新の会、国民=国民民主党、社民=社会民主党。自民党現職議員の派閥は細=細田派、麻=麻生派、竹=竹下派、二=二階派、岸=岸田派、石=石原派、破=石破派、無=無派閥。
2021年、衆議院総選挙の当落予測【1】 注/この予測は公示前に週刊ポストに掲載されたものです
2021年、衆議院総選挙の当落予測【2】
2021年、衆議院総選挙の当落予測【3】