石原藤樹医師と秋津壽男医師が選択する薬
咳止め薬は「誤嚥性肺炎」のリスクに気をつけたい
北品川藤クリニック院長・石原藤樹医師は普段、風邪による咳症状に対して鎮咳薬のメジコンを飲んでいるという。
「他の『咳止め薬』の場合、咳中枢に作用して咳反射を止めすぎてしまうことで、高齢者に誤嚥性肺炎や口が乾くなどのデメリットが生じます。メジコンはそうした副作用がなく安全性が高いうえ、脳機能の改善効果も期待できます。
メジコンは苦味のある薬で、昨年出された海外の論文で、舌で苦味を感じる受容体を刺激するものがウイルスへの免疫力を高めると報告されました」
その他、糖尿病治療薬は「総死亡リスクや心疾患リスクの低下が知られている」ジャディアンス(SGLT2阻害薬)、多くの医師が飲みたい薬としてリストアップしたメトグルコ、脂質異常症治療薬のエパデールの名前を挙げた。
コロナ対策で「骨粗鬆症薬」を飲むようになった
東京・秋津医院院長の秋津壽男医師も、新型コロナ感染予防を意識して飲み始めた薬がある。
「新型コロナが流行り出してからビタミンD製剤のエディロールを飲むようになりました。本来は骨粗鬆症治療薬として処方される薬ですが、ビタミンDは免疫力の低下を予防するという報告があり、基礎免疫力を上げるために摂るようになりました」
秋津医師が病気になった時、飲みたい薬は何か。
「血圧が高くなったら、降圧剤はACE阻害薬のレニベースを飲もうと考えています。ACE阻害薬は非常に歴史のある薬で安全性が高く、なかでもレニベースは動脈硬化予防、腎臓保護作用、狭心症を抑える効果などがあります。薬価もかなり安く、患者さんにもレニベースを処方することは多いです」(秋津医師)
※週刊ポスト2021年11月12日号