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『全裸監督』武正晴監督が「後戻りできない40代」に友近を起用した理由

武監督

12年ぶりに短編映画を発表した武正晴監督

 公開中のオムニバス映画『MIRRORLIAR FILMS Season1』が9月17日より公開中だ。『MIRRORLIAR FILMS』は、安藤政信(46才)、三吉彩花(25才)ら注目の俳優やクリエイターが監督を務めた9つの短編から成る映画制作プロジェクト。そのうちの1つ、『暴れる、女』でメガホンを取ったのが、映画『百円の恋』やNetflixドラマ『全裸監督』などの監督を務めた武正晴(54才)だ。「短編は約12年ぶり」と語る武監督に、プロジェクト参加のきっかけや、キャスティングの決め手を聞いた。

 * * *
 自身のキャリアの中でも短編作品は珍しいが、参加を決めた背景にはプロジェクトの発起人でもある山田孝之(38才)からの呼びかけがあったという。

「『全裸監督 シーズン2』の本読みの時に、山田さんが『短編、やりませんか』と誘ってくれて。これからいざ撮影が始まるという時だったし、『はい』と言うしかなくてね(笑い)。すぐにOKしたんです。山田さんもいいタイミングで言うよなぁ。でも、何より山田さんが誘ってくれたのが嬉しかったんですよ。

 よく、才能を見抜く場としては『短編が一番良い』と言われるぐらい、実は短編映画は難しいんです。僕自身、短編は12年ぶりなのでどうなるかなと思いましたが、やってみるととても面白かった。若手の登竜門として考えると気合いを入れざるを得ない部分はあったけど、『何か楽しいことをしたいな』という気持ちで肩の力を抜いて参加できた。必死にやっていた若い頃より楽しんで作れるようになっているし、スタッフも揃ってる。そういう人たちとやりたいことをやれるのは楽しい作業でしたね」

『暴れる、女』は、模範囚として仮出所した40代の女・響子が、出迎えた恋人の若い舎弟・友広を相手に、食欲や性欲、あらゆる欲望を開花させていく物語。脚本を担当したのは『百円の恋』や『嘘八百』などでタッグを組んだ盟友・足立紳(49才)だ。響子役を演じた友近(48才)は、あて書きかと思うほどハマっているが、意外にも本作の着想は10年ほど前からあったという。

「元々は、2010年頃に足立さんと『女の人の活劇が観たいよね』と話していたことがきっかけで書いてもらった長編作品なんですよ。当時はイケメンブームで、僕自身ボーイズものを撮る機会が多くて飽きていた頃で、『これからは女性の物語の方がウケる』と話していたんです。今回は、その10年前の脚本を引っ張り出して、冒頭の15分だけを撮りました。

 何故今になって10年前の作品を撮ったかというと、当時は映画に出来ない事情があった。当時、脚本を持っていろんなところを回ったんだけど、ちょうど東日本大震災が起きて『こんな映画に金を出す奴はいない。もっと小規模のものを作れ』と方々で言われて。そのまま脚本はお蔵入り。じゃあ小規模のものを撮ってやれと思い、足立さんに書いてもらったのが『百円の恋』なんです」

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