武監督

武監督の率いる現場は緊張感があると語る俳優も

 響子役の設定は友近に合わせて変えたという。

「以前、友近さんが『女囚や指名手配の人の役をやりたい』と言っていたことを思い出して、主演をお願いしました。当初の脚本では、響子はもう少し若い設定だったのですが、年齢的に40代の方が、良い時期を刑務所で過ごし、後戻りできない後悔や感情の深みが出ると思い、友近さんに合わせて手直ししたんです。彼女が快諾してくれて、すぐにスケジュールも調整してくれたので、話は早かったですね。

 キャスティングが難しかったのは、どちらかというと“受け”になる友広役。この作品は登場人物が響子と友広の2人だけなので、ちょっとした“手だれ”を呼んでこないと成立しないんです。友広役の渡辺大知くん(31才)のことは『全裸監督』で知っていたので、ぴったりだと思ってお願いしました。今回は友近さん、渡辺くんだけでなく、スタッフみんなに長編版のシナリオを読んでもらって、世界観を共有した上で冒頭を撮影したんです。おかげで完成度も高かったので、ぜひ続きを撮りたいですね。これを観て長編を観たいという出資者の人がいたら、ぜひ声をかけてください(笑い)」

【プロフィール】
武正晴(たけ・まさはる)/1967年生まれ。愛知県出身。明治大学在学中に映画研究会へ所属し、自主映画を多数制作。卒業後、映画界へ。工藤栄一監督を筆頭に、崔洋一、石井隆、中原俊、井筒和幸など、数々の名監督の助監督を務める。2007年『ボーイ・ミーツ・プサン』で監督デビュー。2014年、安藤サクラ主演の『百円の恋』を監督し、第39回日本アカデミー賞優秀監督賞をはじめ、国内外で数多くの賞を受賞。近年の監督作品に『ホテルローヤル』、『アンダードッグ』がある。Netflixドラマ『全裸監督』では2シーズンに渡り総監督を務め、大きな話題となる。

取材・文/阿部洋子 撮影/木川将史

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