救援投手として活躍した平井正史を二軍投手コーチ、切り込み隊長の田口壮を外野守備・走塁コーチに就任させている。正捕手として仰木DNAをたたき込まれた中嶋監督は“最後のピース”だったのかもしれない。
仰木監督の教え子が集結して輝かしい時代を取り戻す。田口コーチは優勝時の会見で、「中嶋監督が仰木監督に見えてこないでもないよね。選手に思い切りプレーさせるところとか似ているのかな」としみじみと振り返っている。
仰木時代のオリックスを取材していたデイリースポーツ元編集局長の平井隆司氏も2人を重ね合わせる。
「仰木監督は矢継ぎ早の投手交代、奇想天外な代打策、相手投手によるオーダーの組み換えなどを駆使し、監督采配が左右する1点差ゲームをものにしてきた。今季の中嶋監督の采配も似ている部分があります。ネームバリューや人情に流されることなく、選手に配慮はするが遠慮はしない。打順は143試合で130通りの“猫の目打線”で、4番も8人起用している。救援投手の3日連続登板は12球団で唯一なし。在阪マスコミからは“中嶋マジック”“中嶋イリュージョン”と呼ばれています」
(第2回につづく)
※週刊ポスト2021年11月19・26日号