ライフ

おでんの具材が窒息や誤嚥を招く恐れも 安全に食べるための「ひと工夫」

窒息や誤嚥など、おでんによる事故を防ぐにはどうする?(写真はイメージ)

窒息や誤嚥など、おでんによる事故を防ぐにはどうする?(写真はイメージ)

 東京消防庁のデータによると、冬場は65歳以上の餅による窒息事故が圧倒的に多く、年末が近づくにつれ餅についての注意喚起はさかんになされるようになっている。しかし、同じく冬の風物詩である「おでん」でも注意が必要だ。こんにゃくやはんぺんといった定番具材の窒息リスクに目を向ける必要があると説く専門家は少なくない。

 また、窒息とともに気をつけなければならないのが、おでんの具の「誤嚥」である。心越クリニックの岩間洋亮院長が解説する。

「一括りにされることもありますが、窒息と誤嚥は違います。誤嚥とは、口から入れた食べ物や汁を、食道ではなく、肺に通じる気管に誤って入れてしまうこと。気管をストローにたとえると、ストローが全部塞がるのが窒息、ストローの中に食材などが落ちてしまうのが誤嚥です。誤嚥すると、気管から肺に入った食べ物や汁が腐って雑菌が繁殖し、肺炎を起こしてしまう。これが誤嚥性肺炎です」

 おでんの具の中でも、窒息リスクと誤嚥リスクの両方がある餅巾着はとくに注意しなくてはならない。

 餅はただでさえ喉に詰まりやすいうえ、そこに汁をたっぷり吸い込んだ油揚げが加わり、複数のリスク要因が合わさっている。みえ呼吸嚥下リハビリクリニックの井上登太院長が解説する。

「餅は50℃の時と、体温に近い40℃を切ったあたりとでは、粘度、硬さが全然違います。冷めればどんどん硬くなっていく。巾着の中の餅も、アツアツの時はトロッとしていますが、うまく飲み込めずにいる間に、しだいに硬く粘っこくなる。そのまま喉に引っつけば窒息に至ります。

 餅による窒息事故のなかで一番多いのは、焼き餅ではなく、煮込みの雑煮ですが、それも同じ理由です。さらに嚥下機能が弱ってきている人にとっては、口の中で滲んできた水分はむせの原因になり、それもやはり誤嚥に繋がってしまうのです」

 おでんの餅巾着による窒息事故の報告は分析データにも登場しないが、それは「巾着の場合、事故の報告としては『餅を詰まらせた』ということになるからではないか」(井上氏)とみられている。

 おでんのリスクは他にもある。要注意なのは、塩分の摂りすぎによる高血圧だ。

「おでんは汁自体に塩分が多いうえ、練り物にも多量の塩分が含まれている。味噌や柚子胡椒などの薬味を使えば、さらに塩分量が増してしまいます」(井上氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン