「第16回読売演劇大賞」贈賞式(2009年撮影)
初代中村吉右衛門は、明治から昭和にかけての屈指の名優として知られる。そんな先代の芸を目指し、そして進化させて未来へと受け継ぐべく、人生の全てを懸けた。
伝統芸能としての歌舞伎は、グローバル化する時代の中にあって「日本人が日本を知ることができる芸術」とも語っていた。
〈いかにグローバル時代とは申せ、まずは己を知り、自国の文化を知ることから始めなければ、真の国際感覚は成りゆきません。その点、歌舞伎はいいですよ。お芝居を観るだけで日本的な人情や文化がわかり、外国の方はもちろん日本人が日本を知るためにも格好の総合芸術……と、多分に我田引水ですが(笑)。
例えば時の流れを少しだけ巻き戻していただき、二時間を一刻と数えていたころのゆったりした時空に身を置いてご覧下されば、人としてのあり方やこの国の国柄など様々なものが見えてくるのではないでしょうか。人生、早くも遅くも結局行き着くところは同じ。ゆったり豊かに参りましょう〉(前出のインタビューより)
ご冥福をお祈りします。
尾上菊之助と四女・瓔子さんの結婚会見にて(2013年撮影)