「新鮮なヤンキーキャラ」で印象が一変
これまでに杉野さんは多くのドラマに出演している。振り返ると『ハケンの品格』(日本テレビ系、2020年)では、コネ入社のお抱え会社員役。『教場II』(フジテレビ系、2021年)では、女性教官から好かれる役……と、話題作へ立て続けに出演している。洗剤のCMにも人気俳優陣と共演していたこともある。言われてみれば「あ、いた! うん、いた!!」と思い出すけれど、大きな印象に残ることはなかった。記憶力及ばず、すみません。
それが今回の役で印象は一転。何度も繰り返しになるけれど“ヤンキー役”という要素は大きかった。仮にヤンキーが登場するドラマをざっくりと二分すると……『今日から俺は!!』(日本テレビ系、2020年)のような、お笑い系。そして『ごくせん』(日本テレビ系、2002年〜)のような、かっこいい系。この2カテゴリーに分けられる。
そこに現れた、『恋です!』の森生の “天然かわいい系”。こんな人が出るドラマあったっけ? と、ドラマオタクの脳内データを掘り起こしても、出てこない。この新鮮なヤンキーキャラも彼のブレイクに一役買っている。
この一連からふと気になって、ご本人の言葉を読みたくなり、ネットで取材記事を検索してみた。ひとつ「過去の自分が好きではなかった」という記述を見た。この1〜2年で変わったともご本人は感じているらしい。なるほど。
さらに、杉野さんは今年、10〜20代の女性を対象にした『2021年インスタ流行語大賞』の芸能人部門で第5位にランクイン。トップ10圏内は、ほぼアイドルグループが占めている中、俳優は彼一人。若い女性の注目度が着実にアップしていることが、数字から感じられる。彼の仕事への思いの変化が今回の作品の出演に重なり、そしてこの人気ぶりは2022年へと続くのだろう。彼の姿を大河ドラマで見られる日も近いような。
さて『恋です!』も終盤戦へ突入した。ユキコを慕う恋のライバル登場、彼女を幸せにしたいと悩み、葛藤する森生。最終回は絶対にハッピーエンドがいい。
【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。