稲垣の佇まいは、西洋史との親和性が高く、当時の服装や髪型なども見事にハマり、大島優子や剛力彩芽、中村橋之助ら、フレッシュな顔ぶれとの共演は、座長・稲垣に刺激を与えていた。何より、規格外ともいうべき白井氏の演出は、稲垣の役者としての枠をグングン広げ、再々演を実現した『No.9~』では度々、「ベートーヴェン降臨」なる評価を得たものである。
この二作を観るために、ファンの皆さんは、ずいぶん世界史の勉強をしたと聞く。稲垣自身は、もともと読書家であり、実は『サンソン~』の舞台化には稲垣自身がおおいに関わっている。だが、その上をいくのが白井氏なのだという。稲垣は、「白井さんの机には、いつも何冊もの歴史書が置いてある」と言い、「少しでも追いつけるように本を読み漁っている」と言っていた。
今回演じる“探偵ニック”との共通点も
一方、鈴木氏とタッグを組む舞台は、繰り返しになるが、“当て書き”。今回は外国人だが、稲垣も“探偵ニック”とは、「誠実さと共にちょっと抜けたところ」「演技も得意」と自身との共通点を挙げ、「果たして素敵な女性を恋に落とすことができるのでしょうか」「皆さんがニックという役を愛してくださると幸せです」とコメントを締めくくっている。
現在、週に2回、FMラジオで音楽番組のパーソナリティを務め、AMラジオでは「編集長」としてトレンドを語る稲垣。ファッション誌では映画評の連載、文芸誌では、小説家との対談連載をもち、『ななにー』(AbemaTV)では「インテリ・ゴロー」なるコーナーを仕切る。
プライベートでは、「渋谷のマダム」を自称し、自室で花を飾り、コーヒー豆にこだわり、ワインを愛す。さらに、前述の熊谷氏が「若い頃と比べて、もっとも変わっていないのではないか」と評する体型やルックスをキープするために、「趣味は散歩」、低速ジューサーが流行る前から野菜や果物で作る朝のスムージーを日課にしたり、最新の美顔器やスチーマーなどを当たり前のように揃えているのだ。