「毎日歩いて週5、20年通ってますね。若かりし頃はべろべろになるまで飲んだけど、いまは程よくね。
地元の小学校で英会話を教えている外国人のお客もいて、みんなで誕生会やクリスマス会もしましたね。店主が音楽好きだから店でライブやったことなんかもあるよ。みんなこうやって写真撮って壁に貼ってあるんだよ。ほら、これ俺!これも俺だよ」(60代)
店の奥の壁一面に客らが笑顔で写る写真がたくさん貼ってある。長年通う常連客が、色褪せた写真に自分の顔を見つけては、嬉しそうに笑う。
「親父が始めた酒屋ですが、大学を卒業して5年ほど東京で飲食の仕事をして、25年前に戻ってきて店を継ぎました。もう酒屋だけの時代じゃない、飲食もやって売り上げを伸ばそうと思いましてね。最初は店の前にプレハブを建てて角打ちをやっていましたが、現在は、酒屋スペースと飲食を分けたこのスタイルになりました。
大学生のときに通ってくれたお客さんが、就職して会社の人を連れて、そして定年後には、ひとりでふらっと来てくれて、もう40年間通ってくれるお客さんがいるんです。それはとてもありがたいし、すごいことだなって思うんですよ」(店主)
そうしみじみと語る店主が腕によりをかけて仕込んだチキントマトカレーは、「クセになる味。辛さを選べるから私はいつも5倍。これが〆に最高なんですよ」(20代)と大評判だ。
「どんな料理にも合うドライな酒」と、焼酎ハイボールが客らのお気に入り
「鶏肉の油で7種類のスパイスを炒めていましてね、油は一切使っていないんですよ。このカレーは私なりにかなりこだわっていますよ」と、いつも控えめな店主がこのときばかりは得意気だ。
「角打ちって本来さ、旨いもんなんてあまり期待してないじゃない? なのに、角打ちでこのカレーって!ほんとここは何でもあるからね、デッドボールもたまにあるけど(笑い)、だいたいホームランだよ。俺は月、火、水、木、金、土と来てる。日曜も店の前を通って一応覗くんだけど、誰もいないの!!(笑い)」(50代)と、ほろ酔い客のトークが炸裂。
「そっちに合流してもいいですか?」(40代)
「いーと、いーと!」(50代)
気がつけば、バラバラに来た客がひとつの角打ち台を囲んでお喋りに花を咲かせている。みんなが旨そうに飲んでいるのは『焼酎ハイボール』。
「スパイスが効いたカレーにも、味が染みたおでんにも、こういうドライな酒が合う。キリッと冷えた辛口がよかばい!」(40代)
穏やかな店主が営む地域密着の店だ
2021年10月28日取材
■千成屋
【住所】福岡県福岡市博多区比恵12-8
【電話番号】092-431-7004
【営業時間】17~24時、日曜定休
焼酎ハイボール350円、ビール大びん557円、チキントマトカレー100g250円~、おでん各種110円~、キムもやし110円
※営業時間等に関しては店舗にお問い合わせください。