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東大前刺傷事件で逮捕の少年 「勉強」への強いこだわり示す中学の卒業文集

現場

犯行現場の東大農正門前(写真/アフロ)

 東京メトロ南北線・東大前駅。受験勉強に打ち込んできた学生たちが、参考書を片手に大学入学共通テストの会場の東京大学へと向かうなか、Aはひとり焦っていた。何一つうまくいっていない──南北線車内で液体をまき、持っていたリュックサックごと火を付けようとしたがうまく付かない。Aは諦めてリュックサックを電車内に放置して東大前駅で下車。駅の階段で着火剤に火を付けて投げるも燃え広がらない。何度やっても同じだった。

 焦りと興奮が交じるなか、物を落としたことを男子学生に指摘される。その指摘に反発する言葉を叫びながらマッチをこすり火を付けて学生の方に投げるが、これもまた燃え広がらない。失敗が続き、罪を犯す決意を固めた人間なりの自尊心が傷ついたのか。それとも何一つうまくいかないことで、普段の自分がフラッシュバックしたのだろうか。Aは自らの拠りどころを急に叫び始めた。

「おれは偏差値73のX高校だぞ!!!」

 この叫び声をあげてから間もなくの午前8時半、Aは3人を立て続けに包丁で刺し、殺人未遂容疑で逮捕された。Aは17才の高校2年生だった。

深夜バスで上京、犯行前に制服姿に

 大学入学共通テスト初日の1月15日。Aが地元の名古屋から東京に来たのは、犯行に及ぶ2時間半前のことだった。

「前日の朝に制服姿で自宅を出たものの、学校を無断欠席しています。その日の足取りは不明ですが、途中で私服に着替え深夜バスに乗車し、名古屋から東京駅に向かって午前6時頃到着したようです。犯行前に再度、高校の制服に着替え直しています」(全国紙記者)

 その後、Aは東大周辺を一度下見していることを警察に供述している。冒頭のボヤ騒ぎを駅構内で起こした後、Aは東大前駅の出口を出てから胸ポケットに忍ばせていた刃渡り12cmの包丁を取り出した。

「駅から東大の農正門までの道を走りながら、次々に人を刺していったようです。まず72才の男性の右背中を刺し、その後17才の女子高生の左背中、最後に男子高生の右背中を刺しました。72才の男性は肺に血がたまって重傷です。

 Aの供述によれば男性を狙ったのは『駅を出てから最初に目にしたから』。下見をしていたことから無差別大量殺人を計画していたものとしてAから事情聴取をしています。使用した包丁のほかにナイフやのこぎり、栄養ドリンクの瓶に着火剤を差した火炎瓶のようなものが見つかっています」(前出・全国紙記者)

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