スポーツ

南海OBが語る故・水島新司さんとの思い出「裏方まで描いてくれて感謝」

『あぶさん』の景浦安武Ⓒ水島プロダクション

『あぶさん』の景浦安武 Ⓒ水島プロダクション

 漫画家・水島新司さん(享年82)が110肺炎のため都内の病院で亡くなった『ドカベン』や『野球狂の詩』など歴史に残る野球漫画を世に送り出した水島さんの訃報に、球界からも哀悼の意を表するコメントが続々と寄せられた。数多くの作品のなかでも水島さん自身が応援していた球団「南海ホークス」を描いた漫画『あぶさん』はその緻密な取材やホークスの選手たちが実名で登場することなどで長く愛されてきた 

  1969年ドラフト7位で南海に入団し、『あぶさん』の登場人物にもなった堀井和人氏(73。作中では球団スカウトだった父・数男氏と親子競演も果たした堀井氏が水島さんとの思い出を振り返る。 

  * * * 

 ノムさん(野村克也氏)がプレーイングマネージャーになって、何年か経った頃に初めて田辺キャンプ(和歌山)に水島先生がいらっしゃったと記憶しています球団の上層部は『あぶさん』の連載企画が進んでいることを知っていたようですが、選手レベルでは作品のことも先生の素顔も知らなかったので、あの風貌だしなんやあのおっさんは……”という感じでした 

  しばらくして南海を舞台に野球漫画を描いてくれるというのが分かったのですが、その頃にはグラウンドで選手と一緒に走られていましたね。キャンプには息子さんも連れてこられたりして、和気あいあいとやっていました先生も昔、野球をやられていたそうですが、走っても投げてもさまになっていましたよ。髪の毛はボサボサだったから雰囲気は野球選手らしくなかったですが、動作では周囲に溶け込んでいました 

 『あぶさん』では、当時人気がなかった南海をテーマにして、それもエースやスター選手だけでなく、控え選手や裏方まで実名で描いてくれてありがたかったです。僕のような控えの選手も特集してもらいましたし、当時、南海のスカウトをしていた親父と親子で登場させてもらったりして嬉しかったのを覚えています。 

  そういえば、本当に事実に忠実な作品だと驚かされた思い出がありました。水島先生が取材をされる時、連れていたお弟子さんたちが写真を撮っていました。親父がスカウトとして登場した際は自宅にカメラマンがやってきて応接間をパシャパシャ撮るんです。するとうちの応接間がそっくりそのまま漫画で出て驚きました(笑)。 

  僕は大阪・ミナミで店をやっているんですが、亡くなったと聞いて店に先生が描いた絵を飾らせてもらいました。飾るといえば、大阪スタジアムのライトスタンドには水島先生が自腹で『あぶさん』の看板を出されていましたねあぶさんこと代打の切り札・景浦安武のモデルになった選手は何人かいたそうですが、すべて水島先生の想像ですからね。景浦のように飲んべえで酒が強い選手はたくさんいましたが、あんなに格好いい選手は南海には見当たらなかったですよ(笑)。 

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
イメージカット
「有名人なりすまし広告」の類に“騙されやすい度”をチェックしてみよう
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン