リスナーからのはがきで名曲が誕生
名物コーナーが作られたのもこの時代から。
「先生に怒られたり、失恋したリスナーに代わって、私が怒りを叫ぶ『深夜のバカヤロー』というコーナーが人気でした。ほかにも、リスナーが考えた夜食を作って食べるコーナーもありましたね。曲をかけている間に、給湯室に作りに行き、生煮えの即席めんを“おいしくないよ〜”とぼやきながら食べたことも」
番組でシンガーソングライターとしての幅も広がり、リスナーからのはがきがきっかけで名曲も生まれた。
「中学生のリスナーとのはがきのやり取りで『風にのせて』を作詞・作曲しました」
やがて、コンサートにも人があふれるようになる。
「人気番組の力を感じました。どこに行っても“(ラジオを)聴いているよ”と声がかかるようになりました」
番組が終了した後も、ラジオの仕事は続けた。放送30年を迎える『イルカのミュージックハーモニー』(ニッポン放送)が現在も放送中だ。
「ラジオは時計代わりにもなるし、家事や仕事をしながら聴けます。日常生活に深くかかわるラジオに携われたのは『ANN』のおかげですね」
【プロフィール】
イルカ/1971年デビュー。1975年に『なごり雪』が大ヒットし、1980年には女性シンガーソングライター初の日本武道館公演を成功させる。デビュー50周年を迎えた現在も毎年全国ツアーを続けている。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2022年2月10日号