パラスポーツの選手たちはスポンサー獲得に苦労することが多いが、東京2020パラリンピックに向けて盛り上がっていく中で、長谷川選手も日本代表になる前に企業のアスリート雇用が決まった。
「2017年の11月、ソシエテ・ジェネラル証券に障害者のアスリート雇用してもらいました。そのあとすぐに代表入りが決まったんです。
毎年、日本一のクラブチームを決める日本選手権大会があるんですが、監督が見ていてくれたみたいで、翌月の合宿から名前が入っていました。訳もわからないまま全日本の合宿に呼ばれて練習に参加して、『じゃあ3か月後に海外に行くから』って、考える間もなく動き出した感じです」
突然の抜擢にプレッシャーはなかったのかと尋ねると、本人はいたってクール。
「僕の年代の選手を入れたかったんじゃないですかね。活躍している先輩達のプレーを見られてすごく勉強になります」
こうした姿勢は、彼の車いすラグビーでのポジションに適性があるといえそうだ。
彼はいわゆる「ローポインター」と呼ばれる選手だ。車いすラグビーでは、障がいの重さによって各選手に持ち点が設定される。障がいが軽い選手は最大3.5点、重い選手は最小0.5点。長谷川選手は0.5点のローポインターだ。
ひとくちに「車いすユーザー」といっても、障害が膝から下なのか、腹筋が使えるか、指が動かせるかなど、状態はそれぞれまったく違う。筋肉がつく範囲やスピード感が異なるので、各チームの公平を期すためにコート上の4選手は合計8点以内になるように編成しなければいけない。
ボールを持ってゴールを狙うのは、障がいの軽いハイポイントの選手だ。そしてその選手たちの道を空けるサポートを主にするのが、長谷川選手らローポインター。素早くダイナミックに動くというより、頭脳で試合をコントロールする。