(写真/時事通信社)

相手の懐にぐっと入り込む(写真/時事通信社)

 それは「自我関与度」が高いからだろう。相手の話に自分の気持ちや感情をきちんと関わらせているのだ。共感できるところはとことん共感し、知識や経験を武器に話を盛り上げ深堀りするが、共感できない部分は無理に合わせず、下手に取り繕わない。話の意図が掴みにくい、分かりにくい時はそれをぼかさず、はっきり口にする。話し手からすれば、聞いてもらえている、分かってもらえる、自分の話に興味を持ってもらえているという印象を持つはずだ。

 マツコさんは相手を誉めることも多い。その人の容貌やスタイルを誉めることもあるが、女装家ならではの相手への興味の示し方で嫌味がない。誉めることで相手との心理的な距離を一気に縮めてくる。自分という人間に興味があると感じた話し手は、ここで気持ちを掴まれる。こうした誉め方をするのは、マツコさんが聞こうとしているのが話だけでなく、その人がどうしてその話をするのか、なぜそんな行動をするのか、なぜそれが好きなのか、こだわるのか、というその人自身についてだからだと思うのだ。

 名司会者というのは自我関与度が高いのだと思う。黒柳徹子さんもそうだが、彼女と話し手との間にはいつもある一定の心理的距離が保たれているように感じる。大御所である黒柳さんを前にすれば、話し手が緊張しかしこまるのも仕方ないから、そのせいかもしれない。人気のある司会者は、相手が話しやすいだろう心理的距離を計りながら、話を進めている気がする。

 有吉弘行さんも名MCであり、自我関与が高いが、話し手との間にはやはり心理的距離を取るような印象がある。相手が離れれば彼が近付き、話し手が近付いてくれば彼が下がる。芸人でMCが上手い人にはこのタイプが多いのではないだろうか。マツコさんはというと、上からでも下からでもなく、フラットに肩の力を抜いて相手の懐に自分からぐっと入っていき、その距離を縮めてしまうタイプだと思う。

 互いの距離が近くなることで話し手はリズムに乗れる。だからマツコさんの司会は、楽しく面白くリアルにイキイキと感じるのだろう。

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