批判を浴びても強硬姿勢を崩さないプーチン大統領(写真=SPUTNIK/時事)
“強いロシア”の背景にある「結果バイアス」
強くある、戦う、あきらめない、勝ちとると書き並べてみると、五輪に限ったことではなく、まるで今のロシアの現状を映し出しているようだ。強いロシア、それはプーチン大統領が目指してきたもの。今起きているロシアによるウクライナへの軍事侵攻も、プーチン大統領の「結果バイアス」が働いているように見える。
プーチン大統領は、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の2地域を「独立国家」として一方的に承認する大統領令に署名。その上で、2地域に平和維持軍を派遣するよう国防省に命じた。2月24日に軍事侵攻に踏み切ったロシアは、25日時点で空港を含むウクライナ軍の80以上の施設を攻撃し、130人以上の死者を出しているという。
ロシアが強大あるために、ウクライナの制圧は欠かせない。その理由は、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟すれば、ロシアにとって脅威になるからだとされている。ウクライナのゼレンスキー大統領は、公約にNATO加盟を掲げた大統領だ。
プーチン大統領は昨年、ロシア人とウクライナ人は歴史的に1つの民族であることを論文で主張し、22日の演説では、「ウクライナはロシア革命後にロシアによって作られた国だ」と述べた。1991年のソ連崩壊後独立国家となったウクライナだが、親ロシア派の政権が倒され親欧米派の政権が誕生すると、ロシアはクリミア半島を併合。プーチン大統領の支持率は一気に80%を超えたという。
次期大統領選で5期目を目指すプーチン大統領は、今回のウクライナ侵攻でも支持率上昇を目論んでいるとみられる。国際社会から批判を浴びたとしても、結果を重視するプーチン大統領らしい強行だが、果たして支持率は上がるのだろうか。
首都キエフにロシア軍が入ったウクライナでは、市民生活が一変し緊迫した状況が続く。大国として強いロシアの復活を目指すプーチン大統領は、ウクライナへの軍事侵攻をどう決着させるのか。行き過ぎた「結果バイアス」が働かないことを祈る。