国際情報

北朝鮮、ロシアに派遣されている労働者への監視を強化 亡命を警戒

北朝鮮当局の監視が一層厳しくなっているという

北朝鮮当局の監視が一層厳しくなっているという

 北朝鮮政府が外貨獲得のためにロシアに派遣した北朝鮮人労働者に対して、個人で引き受ける建設現場でのアルバイトを禁じ、常に10~20人の団体行動をするように命じたほか、これまで所有していた携帯電話も取り上げるなど、北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の引率者の監視が強まっていることが明らかになった。

 ロシアには推定2万人の北朝鮮人が派遣されているが、1月中旬に数人の北朝鮮人労働者が引率担当者と離れて働いている間に行方不明になる事件が発生。北朝鮮当局は労働者らがロシアにいる間に、金正恩政権への忠誠心が薄れたことが原因とみて、アルバイト禁止令を出すなどの監視強化に踏み切ったという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 北朝鮮は2020年1月以降、新型コロナウイルスの感染拡大で国境を封鎖し、原則的にすべての国民の出入国を禁じているが、外貨稼ぎのために中露両国への出稼ぎ労働者の出国は認めている。

 米国務省の報告書によると、中露両国や海外諸国で働く北朝鮮人は2万~8万人で、その大半が国連の対北朝鮮制裁に引っかからないように、素性を偽って、短期の留学ビザや観光ビザで入国している。

 だが、これらの労働者らは新型コロナウイルスの感染拡大で建設現場などでの仕事がなくなり、生活が困窮、現地の韓国人らに支援を求める者が多くなっているという。

 ロシアでは、現地で活動する韓国人宣教師や非政府組織(NGO)、現地のロシア人支援団体が困窮する北朝鮮労働者らと接触し、亡命の手はずまで整えた例もあるという。1月には数人の北朝鮮労働者が突然姿を消すケースがあったが、これはこれらのNGO関係者らが関与しているとみられる。

 これを契機に、北朝鮮当局の監視が一層厳しくなり、労働者はアルバイトを受けるために使う携帯電話やパスポート、身分証明書などを取り上げられ、常に監視者付きで10~20人の団体行動を強要されるようになった。

 ロシア極東部のウラジオストクでは北朝鮮労働者の寮には監視カメラだけでなく、建物自体が鉄板で囲われており、厳しい警備態勢が敷かれているという。

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン