尾木:早稲田大学と東北大学の資料によると、過去10年間の学生の成績が一番いいのはAO入試(※1)の学生だったんですね。
【※1:アドミッションズ・オフィス入試。一般の入学試験の代わりに小論文、面接などで人物を評価し、入学の可否を判断する選抜制度】
茂木:いいデータですね。
尾木:私が教えている法政大学でも1割くらいがAO入試組ですが、やはり一番成績が伸びる。一番伸びないのが、早稲田とか第一志望の大学に落ちて法政に進学した学生。受験で疲弊したうえに報われず、「自分はここに来るはずじゃなかった」と1年生の秋頃まで引きずる。だけど、AO組は大学でこれを学びたい、あれをやりたいと喜びいっぱいで入ってくる。
茂木:早稲田も法政もいい大学で、上も下もない。なのに、学生が腐ってやる気を失ってしまうのは、偏差値で大学をランク付けするからです。予備校の人たちに言いたいんですが、それぞれ個性の異なる大学を偏差値だけで一括りにして、「MARCH(マーチ)」(※2)とか「日東駒専」(※3)と呼ぶのはなんなんだ、いい加減にしろ!(笑)
【※2:東京都ならびに関東地方に本部を置く私立大学群を指す言葉。明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学のアルファベット表記の頭文字を並べたもの】
【※3:東京都に本部を置く私学大学群を指す。日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学の漢字表記の頭文字を並べたもの】
尾木:まあまあ、落ち着いて(笑)。
茂木:私はいわゆる「Fラン大」(※4)と呼ばれる大学で学生とトークをして、非常にユニークな活動をしている優秀な学生がいて驚いたんですが、「大学名を言えない」と嘆いていた。そういう社会っておかしいです。
(※4:予備校が作った造語のため、明確な定義は存在しないが、「定員割れにより偏差値が算出できない大学」を指すことが多い)
尾木:そう思います。