35周年記念アルバム『音楽と私』ではジャズアレンジの『時をかける少女』を謳った原田
角川:典子も歌がうまかったですね。彼女は角川映画製作のアニメ『少年ケニヤ』(1984年)や『カムイの剣』(1985年)、『火の鳥』(1986年)の主題歌も歌っています。音程が安定していました。
知世は素直な歌い方をするんですが、声帯が細いせいか、何曲も歌うことができず、1~2曲がせいぜいでした。
30代になって、スウェーデンの音楽プロデューサー(トーレ・ヨハンソン)のところに行って、ボイストレーニングを積んだようです。
その後は歌手としても成功し、アルバムも出してライブで何曲も歌えるようになった。それは彼女の努力の賜物だと感心しています。
学業を優先させプライベートも大切に
〈映画出演や最低限のキャンペーン以外は露出を極力避けていたというが、彼女たちはどのような青春時代を過ごしていたのか〉
遠藤:3人とも学業を優先させていました。学生時代は、撮影は春休みや夏休みなどの長期休暇で済ませ、それ以外は学校に通う。スクリーンに出ているスターがふだんは学校に通っている。市井の人としての生活をとても大切にしていました。
角川:彼女たちは映画製作会社『角川春樹事務所所属』の女優ではありましたが、私自身、芸能プロダクションという感覚はなく、あくまで映画製作会社として機能していたので、芸能人という感覚はありませんでした。女優としてよりも1人の女性を預かっている思いでしたから、恋愛についても制限しておらず、学園生活を大切にしてほしいという気持ちが強かったです。