学業を優先させたことなどについても語った角川春樹氏
遠藤:ぼくは薬師丸さんの作品を担当する機会が多かったのですが、彼女はとても好奇心旺盛。『戦国自衛隊』(1979年)のときに福島のロケ地に同行したことがありました。そのとき、「何かよい本はありませんか?」と聞かれて、当時、話題になっていた村上春樹さん(73才)の『風の歌を聴け』をすすめたんです。そうしたら早速読まれたようでした。随分、素直で勉強熱心だなと思った覚えがあります。
角川:ギャラも給料制でしたし、普通の感覚を大切にしてほしいという気持ちはありましたね。
(第3回に続く)
【プロフィール】
編集者・映画監督・映画プロデューサー 角川春樹さん(80才)/角川春樹事務所代表取締役社長。出版界の風雲児として、数々のヒット作を生み出すかたわら、映画プロデューサーとして、1976年『犬神家の一族』を皮切りに、映画界に進出。角川映画として、『人間の証明』(1977年)、『野性の証明』(1978年)、『ぼくらの七日間戦争』(1988年)、『天と地と』(1990年)など70作を世に送りだす。2020年には監督作の映画『みをつくし料理帖』が公開。全人生を語った書籍『最後の角川春樹』(伊藤彰彦著/毎日新聞出版)でも『角川映画』誕生秘話を明かしている。
映画宣伝プロデューサー 遠藤茂行さん(68才)/東映にて角川映画『戦国自衛隊』(1979年)を皮切りに、『セーラー服と機関銃』(1981年)、『探偵物語』(1983年)、『Wの悲劇』(1984年)など数々の話題作の宣伝を手掛ける。東映作品として『ビー・バップ・ハイスクール』(1985年)、『バトル・ロワイアル』(2000年)、『GO』(2001年)ほか数々の作品に宣伝、企画、製作などとしてかかわる。現在も映画プロデューサーとして活動する傍ら、ダンス・芸能専門学校『東京ステップス・アーツ』で講師を務める。
取材・文/廉屋友美乃
※女性セブン2022年3月17日号