連邦議事堂襲撃事件の現場にも(撮影/横田氏)

連邦議事堂襲撃事件の現場にも(撮影/横田氏)

横田:そうです。僕は議事堂の正門付近で取材していました。すぐ近くでトランプ支持者と警察が火花を散らしてぶつかり合い、最後は催涙スプレーを頭から浴びてほうほうの体で逃げました。平和的なデモ隊とはとても言えない状態でした。

池上:多くの人間が襲撃を目撃して映像も残っているのにトランプが「平和的」と言えば支持者が信じることが恐ろしい。

横田:やはりメディアの力が大きいですね。トランプ支持者はFOXニュースやワン・アメリカ・ニュース・ネットワークといった偏った保守系メディアしか見ない。でもこれは対岸の火事ではなく、日本もアメリカに近づいていると思います。

池上:その通りです。アメリカでは「Qアノン」という陰謀論集団が話題ですが、日本でもトランプを支持し、大統領選挙が盗まれたと主張する「Jアノン」がいます。私が「トランプは人権問題を重視しない」とテレビで発言したら、彼らの抗議が殺到して炎上騒ぎになりました。

横田:トランプがいつ人権を重視したんですか。

池上:某タレントは「トランプは新疆ウイグルの人権問題の法律を作った」と言いましたよ。アメリカの法律は議会が作るもので大統領はただサインするだけという仕組みを知らないんです。

(第3回に続く)

【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊子どもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。

横田増生(よこた・ますお)/1965年福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。物流業界紙の記者、編集長を務め、1999年フリーに。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』で新潮ドキュメント賞受賞。『「トランプ信者」潜入一年』を刊行。

※週刊ポスト2022年3月18・25日号

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