ビジネス

地方で浮上するコロナ禍の通勤・通学ラッシュ 鉄道会社の混雑対策は

辛島町付近を走る熊本市電の2009年から走る0800形。今後、輸送力を高めるべく3両編成の新型車両の導入が予定されている

辛島町付近を走る熊本市電の2009年から走る0800形。今後、輸送力を高めるべく3両編成の新型車両の導入が予定されている

 首都圏では新型コロナウイルスの感染拡大後、通勤ラッシュの激しさがかつてほどではなくなり、ダイヤ改正のたびに減便や終電繰り上げが話題になっている。一方、そこまで日常生活に大きな変化を強いられなかった地方では、通勤通学時の混雑緩和が再び大きな問題として浮上した。ライターの小川裕夫氏が、広島のJR可部線と熊本市電が行っている朝ラッシュ対策についてレポートする。

 * * *
 長期化する新型コロナウイルス禍により、鉄道利用者の減少に歯止めがかからない。全国に路線網を有するJR各社は長距離移動が敬遠されているので、売上面で多大な影響を受けている。東京・大阪といった大都市圏の私鉄は、通勤・通学といった底堅い需要がある。それでも観光客需要が消失し、経営は厳しさを増す。

 他方、コロナ禍にあっても利用者が増えるなど混雑する路線もある。それらの好調をキープする路線は東京・大阪といった大都市圏の鉄道ではなく、自動車依存の高い地方の路線にもある。

 広島県広島市を走るJR可部線は、横川駅―あき亀山駅間を結ぶ約15.6キロメートルの路線だ。可部線の終点は横川駅だが、全列車が広島駅まで乗り入れる。そのため、通勤・通学需要も高い。

 可部線は2003年に一部の区間が廃止。しかし、沿線の宅地化が進んでいたこともあり、2017年に河戸帆待川駅とあき亀駅の2駅が延伸する形で復活した。延伸区間は非電化だったので、復活にあたって電化改良にも着手されている。

 わずか2駅とはいえ、いったん廃線になった路線が復活したケースはこれまでになく、それだけに可部線の復活は地方の鉄道事業者や住民たちを勇気づける朗報となった。

 復活後の可部線は、その後も沿線人口や利用者が増え続けた。そのため、最近では朝ラッシュ時の運行に支障をきたすまでになっている。そうした事情から、JR西日本は今春にダイヤを改正。これまで一部の列車を2~3両編成で運行していたが、朝ラッシュ時はすべて4両編成で運行する。これにより列車一本あたりの輸送力が増え、混雑の緩和が期待されている。

 混雑を緩和するには、運転本数を増やすことや車両の大型化による輸送力増強が対策として考えられる選択肢だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

筒香が独占インタビューに応じ、日本復帰1年目を語った(撮影/藤岡雅樹)
「シーズン中は成績低迷で眠れず、食欲も減った」DeNA筒香嘉智が明かす“26年ぶり日本一”の舞台裏 「嫌われ者になることを恐れない強い組織になった」
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン