エレベーターの中で…
多くのエレベーターは、震度4以上の揺れを感じると緊急停止する。東日本大震災では、エレベーター内の閉じ込めが210件発生(国土交通省発表データより)。救出まで最大9時間以上かかったケースもあった。
「私なら、緊急地震速報が鳴ったら、行き先階のボタンを全部押します。最寄りの階に停止したらすぐに出て、揺れが収まったら階段で避難します」(エレベーターメンテナンスの「i−tec24」代表取締役・岩本由起子さん)
もし閉じ込められたら、外部に知らせることが急務だ。
「エレベーター内にある非常用ボタンを長押しし、外部につながったら状況を知らせます。つながらなければ、エレベーター内に貼られている電話番号に連絡。それも難しければ、私は鉄製の笛を常備しているので、笛を吹くか、笛でエレベーターのドアを叩いて外部に知らせます。缶などの金属物で扉を叩くと音が響き、外部に伝わりやすいんです」(岩本さん)
閉じ込めは長時間に及ぶ可能性もあり、大声で叫んだり、ドアを叩くのは体力が消耗するのでNGだという。大規模商業ビルなどは、エレベーター内に水、ラジオ、簡易トイレ、毛布などが入った「防災キャビネット」が設置されている。命を守るためにも迷わず使おう。
地下街にいるときに…
「地下は地上よりも地震の影響を受けにくいので、慌てずにその場で揺れが収まるのを待ちます。地下街には非常電源もあり、『通路誘導灯』(『非常口』と書かれた、背景が白色の誘導灯)が避難経路を明示しています。とはいえ、火災や換気面でのリスクがあるため、揺れが収まったら、誘導灯を目印に地上に出て、より安全なスペースへと移動します」(和田さん)
取材・文/桜田容子 イラスト/尾代ゆう子
※女性セブン2022年3月24日号