──北野監督からはポスターに何か指示はあるのでしょうか?
中平:最初からテーマなどをこちらに指示されることはありませんね。
また、方向性が間違っていない限り現物を「見て納得・判断される」方なので、こちらから細かく説明するということはあまりありません。
──その映画を観るかどうか、観客はポスターの印象で判断することも少なくありません。それだけに責任重大な役割だと思いますが、やはりさまざまなことを細かく考えてお仕事に臨まれていることがよく理解できました。
私はアーティストや作家の方々とは異なり、音楽でいうと編曲家(アレンジャー)といいますか。たくさんある素材をどのように活かして一つのイメージをより効果的に作り上げるか、ということを大切にしています。
【プロフィール】
中平一史(なかだいら・かずし)/株式会社Viemo代表取締役。アートディレクター、グラフィックデザイナー。『BROTHER』及び『TAKESHIS’』以降の北野映画のポスターやタイトルデザイン等を担当。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年3月18・25日号