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期限切れワクチンのリスク 問題にすべきは「有効期限よりも取り扱い方」

(共同通信社)

3回目接種が進んでいる(共同通信社)

 あなたは消費期限を過ぎた食品をおいしく、安全だと思って、安心して食べられるだろうか。もし、その消費期限がこっそり延長されていたら、不安に思わないだろうか──3回目接種が進むなか、副反応とは違う、新たな不安が浮上している。

「今日打つのは、当初の有効期限が切れたワクチンですが、それでもいいですか?」

 2月下旬、都内在住の50代女性は3回目接種の直前に、医師からそう聞かれたという。

「有効期限切れワクチンだと急に言われて、本当に驚きました。打つ直前ですよ? そんな話はその瞬間まで聞いてなかったし、接種すべきか悩みましたが、日にちを調整して接種会場にきたので急にやめるわけにもいかず、そのまま打ちました。あれからずっとモヤモヤが続いて、本当に接種してよかったのかと思い悩んでいます」(50代女性)

 接種の遅れを取り戻すべく政府が発した大号令のもと、新型コロナの3回目のワクチン接種が進められている。

 しかし、冒頭の女性のような不安の声が多く聞かれる。都内在住の60代主婦が言う。

「3回目を接種して自宅に帰ってふと接種済証を見たら、ワクチンの有効期限について、『3か月延長』とのスタンプが押されていました。3回目を終えてホッとした気持ちが吹っ飛んで、“そんなものを体に入れて大丈夫だろうか”と不安になりました。接種済証を見なければ、期限切れにさえ気づきませんでした」

 安心を得るためのワクチンで逆に不安が増す──なぜ、こんなことが起きているのか。

 ワクチンの有効期間は当初、ファイザー製もモデルナ製も製造から6か月間だった。しかしファイザー製は昨年9月10日に「9か月」に突然延長。モデルナ製は昨年7月16日に「7か月」となり、11月12日に「9か月」に再延長された。

 厚生労働省のホームページには以下の記述がある。
《より長くワクチンを保存した場合に品質が保たれることについてデータが集められれば、そのデータに基づき、薬事上の手続きを経て、有効期間が延長されることがあります》

 しかし有効期限延長の周知は徹底されておらず、接種現場では多くの混乱を招いていた。そもそもまともな臨床試験さえ経ていないワクチンに「延長のデータ」が充分にあるのか。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。

「有効期限の延長を知らずに多くの人がワクチン接種に臨んでいるのだとすれば、政府の説明が足りなかったからでしょう。“期限切れワクチン”だと知らされないまま、接種が進められているなら、それこそだまし討ちですね」

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