芸能

『カムカム』は「膨らみのある群像劇」 過去の脇役たちがやたらに気になる

爽やかなオフィシャル写真(NHK公式HPより)

爽やかなオフィシャル写真(NHK公式HPより)

 作品が重層的であればあるほど視聴者のロイヤリティは増すものだ。今期の朝ドラは明らかにその傾向がある。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 怒濤の回収劇に突入したNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』。過去と現在が交錯し、久しぶりに見た懐かしい顔に感激する一方で、やや混乱も。

 3月17日の回では、喫茶店「「Dippermouth Blues(ディッパーマウス・ブルース)」店主の定一さんが登場したと思ったら、それは息子の健一さんでした。演じているのが定一役だった世良公則さん。父親と息子とを上手に演じ分けた世良さんに拍手喝采です。

 このドラマではこれまでにも「親と子を同じ人が演じるパターン」が出てきました。たとえば尾上菊之助さんが「モモケン」こと桃山剣之介の初代と二代目を演じたり、堀部圭亮さんが荒物屋「あかにし」の店主・赤螺吉兵衛と息子の親子の二役で笑いをとったり。何とも遊び心のある演出です。

 いや、演出や配役の遊びだけではなく、このドラマが持つ深いテーマ--巡っていく円のようなもの(制作統括・堀之内礼二郎氏)を表しているようです。

 その一方で、安子に恋した若い勇ちゃんを演じて爽やかな味を出していた村上虹郎さんが、年老いたら何と目黒祐樹さんになって出てきたり。村上さんの再登場を期待したこちらとしては一瞬「がくっ」ときたけれど、いやいやそう悪くもない。勇ちゃんって何となくこんなオジサンになりそうだ。目黒さんの演技のさじ加減が見事でした。

 そしていよいよ安子(上白石萌音)が娘・るい(深津絵里)を一人残して渡米した謎が解かれる山場を迎えていく。ワクワクしつつも、謎が解かれてしまったら物語に幕が引かれてしまうとロスにおびえる日々。

 はてさて安子はどのようにるいと再会するのか。という物語の筋を追うのも興味深いのですが、もう一つ、このドラマには不思議に関心をかきたてる点があります。

「そういえばあの人どうしているのかな」と過去の脇役たちがやたらに気になる点です。ささやかなエピソードがふと思い起こされたり顔が浮かんだり。今元気だろうか、何をしているのだろうかと妙に懐かしい。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン