教師と生徒の禁断の愛を描いたドラマ『高校教師』(TBS系)は刺激的な内容で一躍話題に(写真はTBSの公式サイトより)
「名前を使う限り許さない」
森田さんの遺族を訪ねると、開口一番から怒気をはらんだ声で怒りをぶつけ始めた。
「森田童子が死んでいるからといって、何をしてもいいというわけではない。私たちは許しませんよ!」
『森田童子大全』の宣伝文には《本書は森田童子さんのご遺族から許諾を得て制作した“決定版”である》とわざわざ記載されている。だが、激しい剣幕を見るに事実は違うようだ。遺族が経緯をこう説明する。
「今年の1月、遺族の1人がふとネットを見ていたら、この本の告知を見つけたんです。何も聞かされていないので本当に驚きましたよ。慌てて監修として名前があったA氏に連絡をしました。
というのも2021年11月に、A氏が私たちのところに、“企画書”と称したメモ書きを寄越してきたんです。しかし、肝心な内容がまったく書かれていない。なので、詳細な内容が知りたいと伝えましたが、その後、A氏からも出版元からも一切連絡がありませんでした。遺族の許諾を得たなんて嘘です。連絡もないから許諾のしようがない状況なんです。そんななかで、本の告知がされました」
森田さんの持つ楽曲や肖像権などの権利は、森田さんの遺族が管理をしている。遺族が怒るのは至極真っ当なことだろう。
「“森田童子”の名前で、4000円ほどもする高価な商品を売るのであれば、私たちを通すべきでしょう。それを無視された。私たちは発売を中止すべきだと主張しましたが、出版元から『販売網の都合もあるので一度延期ということにして、そのうえで考えてほしい』と言われました。顔を立てる意味で受け入れましたが、ホームページでは発売中止と告知してほしいと話したのに、いまだに発売延期となっています。
この企画はやめるべきです。森田童子の名前が使われる限り、私たちは許しません」(前出・森田さんの遺族)
遺族がここまで激怒するのにもわけがある。
「私たちは、身内として彼女を守らなければならないんです。森田童子としてのイメージを守ることも当然大事。しかし、それ以上に引退後の約35年間を一般人として共に過ごしてきた家族である彼女を守りたいんです。
ファンのかたは、歌と自分の人生を重ね合わせて、それぞれの愛し方をしてくれていると思っています。本の監修であるA氏はファン代表みたいな態度だったと聞きます。謎多きまま引退して亡くなった森田童子の“真実を伝える”とか“決定版”とあおるような本を、ファンのかたは本当に欲しいのかな、と疑問に思っているんです」(前出・森田さんの遺族)