ヒロインを演じた深津絵里
もっとすごかったのは、もうひとつの代表作『コジコジ』だ。動物のような人間のような不思議なメルヘンの国の住人たちが繰り広げるファンシーでシュールなギャグの世界。アニメ88話は「ノストラダムスがやってきた」という衝撃的なタイトルだった。
予言を信じたおかめちゃんは、コジコジたちクラスメイトに恐ろしい予言の話をすべきか悩むが、そこに転校生が入ってくる。紫色のターバンのような被り物をした彼の名前は「虎田進」。おかめちゃんは、名前の文字を並べ替え、「ノ」はないけど、ほぼノストラダムス!!と目をむくのである。
1974年には、人類が未曾有の危機に陥る丹波哲郎主演の映画『ノストラダムスの大予言』が公開されたが、『カムカム』も『KAPPEI』さくらももこ作品もギャグ路線だ。その理由は、予言の内容が「恐怖の大王」「人類滅亡」など、スケールが大きい上に1999年7の月と自信満々に言い切られていることが大きい。あたふたした挙句に何も起こらず、カックンとなる。喜劇そのものだ。
加えて、『カムカム』では、ヒロイン三人で紡ぐ100年の物語の中で1999年という年号を印象づけ、ヒロインのおっちょこちょいキャラを象徴する要素にもなった。二十年以上前に予言ははずれたのに、まだまだ遠い日本で物語を作り続ける。ノストラダムスはやっぱり偉大なのである。
安子編を演じた上白石
現在のヒロインの川栄