国際情報

ロシアに強制連行されたウクライナ住民を待つ「極東で強制労働」の過酷な未来

(時事通信フォト)

ロシア軍の非道な行いが続々と発覚している(写真/アフロ)(時事通信フォト)

 避難民の銃殺やレイプなど、ロシア軍によるウクライナ侵攻における非道な行いが続々と発覚するなか、新たに指摘されたのが「子供の強制連れ去り」だ。4月8日、ウクライナ最高会議の人権担当者であるデニソワ氏は、フェイスブックに以下のような投稿をした

「ロシアのウクライナへの侵攻以降、12万人以上の子供たちがロシア軍によって強制的に連れ去られた」

 マリウポリ市議会は3月19日、ロシア側の行為についてSNSを通じ、以下の声明を発表した。

「第二次世界大戦中のナチスによる強制連行のような蛮行が21世紀に起きている。市民がよその国へ連れ去られるとは、想像を絶する事態だ」

 一方、ロシア国防省は、ウクライナ側から65万8000人以上が「避難した」と発表した。うち12万人以上が子供だと認めた上で、「ウクライナ国民を救うための包括的支援の措置の一環」であると主張した。

 ウクライナ住民は、いったん乗ると自分の意思では降りることができない「封印列車」で運ばれているようだが、いったいどこに連れていかれるのか。

「12万人の子供たちは、家族とともにロシアの極東であるシベリアやサハリン(樺太)に送られる可能性が高い」

 そう語るのは、プーチン大統領研究の第一人者である筑波大学教授の中村逸郎さんだ。

「サハリンはソ連邦崩壊後に人口が急速に減少し、半分ほどになりました。現地では都市部に移住したロシア人に代わって中国人が大量に移住して、地域によっては中国人が人口の20%を占めるようになりました。その土地にロシア語を理解して文化が近いウクライナ人を移住させ、極東の“中国植民地化”を食い止めるのがロシアの狙いと思われます。

 ロシアはウクライナ住民を家族ごと移住させて、農作業や森林伐採の労働をやらせるつもりでしょう。コロナ禍もあって投資が集まらないなか、労働力不足を補うためにウクライナ住民を酷使するはずです」(中村さん)

 ロシア(旧ソ連)は敵国の住民を何度も自国に強制的に連れ去った歴史を持つ。その中に、日本も含まれることを忘れてはならない。

「第二次世界大戦前、旧ソ連は西の国境付近にいたドイツ人やオランダ人をシベリアに強制移送し、スターリン時代は朝鮮系の人たちを中央アジア付近に強制移住させました。さらに第二次世界大戦で日本が敗戦した際、満州に残っていた60万人近い日本人がシベリア送りになり、極寒の地で身も心も凍るほど過酷な強制労働を課せられました。日本政府の調べでは、抑留者のうち約5万5000人が死亡しています。

 今回のロシアの65万人連れ去りは、かつてのシベリア抑留を彷彿とさせる残虐な行為であり、日本にとっても他人事ではない大問題です」(中村さん)

 ウクライナ住民の連れ去りはシベリア抑留以上の悲惨な結末が待つかもしれない。

関連記事

トピックス

裁判は全面対決に発展(ZUMApress_AFLO)
水原一平被告が裁判で繰り返した「裏付けのない主張」と「暴露」…“厳罰を望む”大谷翔平の言動からにじみ出る静かなる怒り
女性セブン
大木容疑者(共同通信)。頭部が遺棄された廃マンション
《東大阪・バラバラ遺体事件》「部屋前のインターホンが深夜に鳴った。それも何度も」女性住民が語った“恐怖のピンポン”「住民を無差別に狙っていたのか…」
NEWSポストセブン
車に乗り込む織田裕二(2025年1月)
《フジテレビ騒動の影響》織田裕二主演映画『踊る捜査線 N.E.W.』、主要キャストに出演を打診できないままピンチの状態 深津絵里の出演はあるのか
女性セブン
閑散とした場所に喫煙所(城北公園)
【万博まで約2か月・現地ルポ】路上喫煙禁止条例施行の大阪市「喫煙可能な場所を300か所確保」方針で大騒動 「本当にここに必要か?」「鍵が開かない」…問題が続々噴出
週刊ポスト
『東京2025世界陸上』のスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
「くすぶって終わりたくない…」 織田裕二がバラエティ出演を辞さなくなった切実な背景《『世界陸上』に緊急復帰の理由》
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「従業員の人が驚くといけないから…」田村瑠奈被告が母・浩子被告に告げた「殺害現場のホテルをキレイにした理由」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「1000人以上の男性と関係を持った」金髪美人インフルエンサー(25)が“乱倫パーティー動画”削除の大ピンチ《世界に波及する“奔放な女”の影響力》
NEWSポストセブン
浩子被告の主張は
「すごい、画期的だ…」娘・田村瑠奈被告と被害男性の“初夜”の日、母・浩子被告が夫に送っていた「驚嘆LINE」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
怒り心頭のマツコ
《所属事務所社長の失踪で“消えた大金”》マツコ・デラックス“年収7億円”“20億円”説に「本当の金額はかけ離れている」と猛反論 
女性セブン
新証拠が明らかに(左は共同通信)
「深夜3時に猛ダッシュ」大木滉斗容疑者(28)の“不可解な奇行”を捉えた新証拠とエリート大学生時代の“意外なエピソード”《東大阪バラバラ遺棄》
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《過激ファッション》カニエ・ウェストの17歳年下妻、丸出しドレスで『グラミー賞』授賞式に予告なく登場「公然わいせつ」「レッドカーペットから追放すべき」と炎上
NEWSポストセブン
“既婚者のための新しい第3の場所”ここにあります
《家庭・職場だけではない“既婚者のための新しい第3の場所”を》会員数50万人突破!カドル(Cuddle)-既婚者マッチングアプリが提案する新たな出会いの形
NEWSポストセブン