シベリアでキャベツの苗を植え付ける日本人捕虜(写真/ソ連国立中央公文書館提供)
「日本のケースでは抑留者が帰ることができる母国があり、約47万人が抑留後に帰国しました。ところがウクライナ住民は戦争によって自分たちが帰る国がなくなるかもしれず、強制連行されたウクライナ住民は極東に永住することになる可能性が高い。
ロシアという国には、人間をモノのように右から左に動かしてきた歴史があります。ウクライナ住民も同様に、移住先ではいくつもの家族が狭い1つのアパートに押し込められて、周囲に警察官が立って自由な行動ができなくなるでしょう。強制収容所にいるような暮らしを強いられ、過酷な強制労働を課せられるはずです」(中村さん)
12万人に達する子供たちはロシアの「手駒」として利用されそうだ。軍事ジャーナリストの黒井文太郎さんが指摘する。
「ロシア軍はウクライナの子供たちを自国の宣伝に使うと予想されます。例えば、ウクライナの子供にマイクを向けて、“ウクライナ兵は私たちを置いて逃げたひどい人たちだ”と言わせて、ロシア国内の世論が“やっぱり正しいのはプーチンだ”とプーチン支持で結束するように仕向ける。プーチンの支持率を堅持するための物語にウクライナの子供たちを利用するわけです」
さらに恐ろしい事態も想定される。
「子供たちを親ロ派として育て、脱ウクライナ化やロシアのイデオロギーを教え込む可能性があります。そうなると、彼らが大人になった際、ウクライナ人同士が戦う構図が生まれるかもしれません。
また、ロシア軍やロシアに属するチェチェン共和国の部隊が連れ去ったウクライナ人の幼い子供を洗脳し、ロシアのために戦う軍人として育て上げる可能性があります。実際、チェチェン共和国の私兵がウクライナの孤児院に潜入し、幼児の連れ去りを画策したとの疑惑もある」(国際ジャーナリスト)
暗黒の歴史と悲劇が繰り返されるのだろうか。
※女性セブン2022年4月28日号
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