「市は小区の中で7日間以上陽性者が出なければ小区内の移動を解除し、14日間以上陽性者が出なければ小区外移動を可能にする方針を打ち出しましたが、一人でも陽性者が出ればまた振り出しに戻ってしまうんです。1万人以上の小区で陽性者がゼロになるのは不可能です。これまで私は世界でも有数の国際都市・上海に住んでいることを誇りに思っていましたが、各家庭事情を鑑みた配給もままならず、適切な隔離施設もいまだ割り当てられない現状に心底あきれています」
Bさんの感染の経緯は今のところ定かではないが、折しも3月28日。日本の国立感染症研究所のHPには感染経路としてこれまでは触れられていなかった“エアロゾル感染”が今更ながら明記された。事実上、“空気感染”が認められたことになる。
いまだ連日2万人以上の新規感染者が確認されている上海では、感染者の統計・分析を行なう部署の責任者が4月12日、オフィスで自殺したことが明らかとなった。上海の現実を前に、我が国の感染対策も今一度見直すべきなのかもしれない。
●取材・文/大島佑介(ジャーナリスト)