ロックダウンとなった地域に届けられた野菜がワイルド(時事通信フォト)

ロックダウンとなった地域に届けられた野菜がワイルド(時事通信フォト)

「そのためか、従業員への感染対策教育が徹底しておらず、通常の隔離施設では決して使用しない“全館空調”を誤って使ってしまったんです。そのため、空調を介して陽性者から他の客室の隔離者や従業員に空気感染した可能性が指摘され、運用開始からわずか数日で数十名の感染者を出すクラスターが起きたのです」(同前)

 さらに感染した従業員らが他の場所でウイルスを拡散し、「感染が市内全域に拡大していった可能性がある」(同前)という。こうした華亭賓館の空気感染の可能性を裏付けるかのように、「外出禁止の隔離期間中に家族全員が感染してしまった」と上海で貿易商を営む中国人女性のBさんは証言する。

「うちには私と高齢の父、母の3人が住んでいるのですが、4月1日のロックダウン開始当初は3人ともコロナに感染していませんでした。ですが、4月6日に市から各家庭に支給されていた抗原検査キットで検査をすると父親の陽性が発覚。翌日には母親、その翌日には私の感染もわかったんです。父親の感染が発覚する前日にマンション上階の住人の陽性が確認されていたのですが、PCR検査の時や各棟前の防護服を着た市当局者に監視されながらのゴミ出し以外でドアの外から一歩も出られない状態が続いていたので換気扇や空調を介した空気感染以外考えられません」

 幸いにもBさん一家は今のところ咳などの軽い症状がみられるだけだというが、流通、宅配などがマヒし、両親の持病の薬も手に入らない状態だという。さらには数年前にがんを患ったためにワクチン接種を行なっていない両親の病状が「いつ悪化するかもしれない」と日々怯えながら過ごしているという。

「警察や市当局にはワクチン未接種で持病のある両親を病院の隔離施設に入れて欲しいと頼んでいますが、人員不足でパンク状態からか、感染発覚してから1週間以上たった今でも受け入れ施設が決まっていません。市東部のロックダウン以降、市からの食糧の配給は数回ありましたが肉や野菜、米など各家庭やマンションによって量や品物にもばらつきがあり、決して十分な量ではありません。仕方ないから、同じ居住区に住む住民らでSNSのチャットグループを作り、ネットで食料の共同購入をしている状態なんです」(Bさん)

 上海は大きな区の下に複数の建物が建てられ、柵とゲートで区切られた“小区”に住民の単位が区切られているが、小区によっても規模は数百人単位から数千人単位とばらつきがあり、Bさんが住んでいる小区には1万人以上が住んでいる。Bさんが嘆息する。

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