潜伏期間は主に4日以内で、初期は発熱、頭痛、吐き気などのかぜ症状のため、早期の診断・治療開始が難しい病気です。しかし、その後の症状の進行が速く、発症後13~20時間後には皮下出血や発疹が出たり、息苦しくなったり、光を異常にまぶしがるなどの症状が出始めます。さらに、劇症型では1~2日で死に至ります。
侵襲性髄膜炎菌感染症を発症した場合は抗菌剤の治療を行なっても、後遺症や死亡に至る危険性が高く、日本での致死率は19%にも上り、回復した場合でも壊疽による手足の切断、難聴、言語障害、知能障害などの後遺症が残る可能性があります。ペニシリンGや第三世代セフェム系抗菌薬が効きますが、治療が間に合わないことが多いのです。朝に具合が悪いと休み、夜には重症化していた例もありました。ワクチンで予防することが大事な疾患です。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
イラスト/斉藤ヨーコ
※週刊ポスト2022年4月29日号