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南海トラフ地震 被害想定は東日本大震災の10倍以上、国家税収の3倍

(時事通信フォト)

巨大地震は30年以内に起きるといわれている(時事通信フォト)

 日本各地で地震が頻発している。3月16日には、福島県と宮城県で最大震度6強を記録。東北新幹線は脱線し、全線復旧までほぼ1か月を要するなど、大きな被害をもたらした。4月11日には政府の地震調査委員会が「3月には日本や周辺域でマグニチュード(M)4以上の地震が195回発生した」と発表。2013年以降、最も多い数だった。

 世界で発生したM6以上の地震のうち、約2割が日本周辺で起きるため、「地震大国」と呼ばれる日本。太古から日本列島は巨大地震に見舞われてきた。日本書紀に記録されている飛鳥時代の684年に起きた白鳳地震は、南海トラフ巨大地震と推定される確実な記録としては最古のもの。869年には古代最大級の三陸沖を震源とする貞観地震(M8.3)が発生し、津波を伴い1000人以上の死者を出した。

 それにはわけがある。日本列島は、地球上でも厄介な位置にあるからだ。地球の表面は「プレート」と呼ばれる岩の層で覆われており、日本は陸のプレートである「北アメリカプレート」と「ユーラシアプレート」、海のプレートである「太平洋プレート」と「フィリピン海プレート」という4つのプレートの境界上にある。

 海のプレートは陸のプレートの下に1年間に数cm程度の速度で沈み込む。そのとき、陸のプレートには元に戻ろうとする力が働き、2つのプレートにひずみが生まれる。そのひずみが限界を迎えると陸のプレートが元の位置に戻ろうとして跳ね返る。そうして起きるのが「海溝型地震」と呼ばれるもので、東日本大震災のような津波を引き起こす巨大地震につながるのだ。

 もう1つ、日本で起きる地震がある。陸のプレート内部を震源とする「直下型地震」だ。海のプレートと押し合うことで、陸のプレート内部にもひずみが生まれる。それが限界を迎えるとプレート内部の断層が一気に動き、上下にずれたり左右に食い違うことで地震が発生する。阪神・淡路大震災はこれによるものだ。

 現在、日本で最も危険視されているのが、京都大学名誉教授で地球科学者の鎌田浩毅さんが指摘する「海溝型地震」の南海トラフ巨大地震である。政府は南海トラフ巨大地震の規模を東日本大震災と同じM9クラスと予測し、30年以内に70〜80%の確率で起きるとしている。地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀さんが話す。

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