国会内にも吉野家(時事通信フォト)
それにしても、今回も現場を知らない変なコンサル上がりの役員が滑り込んで来て実際に働く人々を苦しめることとなった。吉野家にかぎらず、訳の分からない連中が現場どころかその商売そのものを軽視し、引っ掻き回して疲弊させる不幸は他の日本企業でも繰り返されている。それを「プロ経営者」としてありがたがる風潮も困ったものだが、元々現場主義だった吉野家も口八丁のコンサルではない現場の大切さを再認識することだろう。これは他人事ではなく、私たちも現場主義に立ち返らなければならないし、他山の石とすべき事案である。
最後に、繰り返すが吉野家の従業員も悪くなければ牛丼も悪くない。吉野家に通うお客も悪くなければ藤田ニコルも被害者のようなもの、悪いのはたったひとりの元役員である。くれぐれも歪んだ正義でこの男のようなレベルに堕ちないで欲しい。
ちなみに新商品の親子丼は大好評とのこと。実際食べたが美味い。とくに出汁が効いている。どんぶり屋の面目躍如である。変なコンサルなんかより、この味を信じれば吉野家は大丈夫だ。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。