1990年、東京・新橋の吉野家(時事通信フォト)

東京・新橋の吉野家2号店は1968年に開店(時事通信フォト)

「コロナ禍で大変でしたが、みなさん吉野家に食べに来てくださります。私たちも一生懸命に提供してきました。何度も言いますが、たったひとりの発言なんです」

 ことは当時の役員が早稲田大学のマーケティング講座で「生娘をシャブ(薬物)漬け戦略」として放言したことに端を発する。別の報道によれば「家に居場所のない人が何度も来店する」と顧客をバカにするような発言もあったとされる。マーケティングの専門家として吉野家以外にもコンサルティングを手掛けた役員は、この不適切な授業内容により解任された。

「注文時にその発言(薬物、シャブ)を付け加えるお客様もいます。よく来てくださるお客様の中には怒り出す方もいます。酷い発言で非難されるのは当然ですが」

 酷い発言だが彼も含め、現場の従業員には何の罪もない。吉野家の牛丼にも罪はない。それなのにたったひとりの元役員のせいで非難や揶揄をされることとなってしまった。風評の問題も鑑みて具体的には書かないが、牛丼にその発言を例えるような心無い注文や抗議を受けるという。

「もちろん、ほとんどのお客様はそんなことをしません。むしろ『大変だね』と声をかけてくださる常連の方もいます。本当に一部なのです」

 ごく一部とはいえ心無い言葉を投げつけられては傷つくだろう。何度も繰り返すが彼も吉野家の現場の従業員も何も悪くない。吉野家の牛丼もまったく悪くない。それなのに歪んだ正義を現場の末端にぶつける、ロシアのウクライナ侵略で在日ロシア人を罵る連中と同様の、歪んだ正義だ。いや、この件に限れば、その行為そのものは正義ですらない。

「店長もかわいそうです。店長はベテランで本当に吉野家も、吉野家の牛丼も愛しているし、コロナ禍でも必死に営業してきたんです。なにも問題はなかった。それなのに、すいません、何度も同じことを言ってしまって」

 全然問題ない。とにかく吉野家の現場も牛丼も悪くない。外部から来た訳の分からないコンサルが「生娘をシャブ漬け戦略」として歴史ある吉野家と吉野家の牛丼を薬物に見立て、女性蔑視と反社会的な内容をマーケティングと称して早稲田大学で教えたこと、これがすべての原因である。なにやら時代錯誤、現代にアップデートできないおじさんの発言とする向きもあるがとんでもない、どんな時代もこんな授業はアウトだし世代も性別も関係なく、この男の人間性の問題である。実際、早稲田大学は即刻講座を中止、吉野家はもちろん、それ以外の企業もこの元役員との契約を切った。

「(解任は)当たり前だと思います。たくさんの人に愛される吉野家の牛丼を、そんな風に言う人が役員だったなんて悲しいです」

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン