コロナ禍で一気に普及した置き配。対処は通販会社、運送会社によってさまざまで、不在でも置き配指定ならそのまま置いていく業者もあれば、置き配指定であっても不在なら持ち帰る業者もある。また荷主次第の部分もあって、例えばAmazonやZOZOなら不在でも原則的に置き配できるが、それ以外の荷物は不在なら持ち帰る場合もある。
「置き配送手配はしないが時間指定はする、それで不在となると本当に困るんです。いろいろ事情はあるのでしょうが、ただ『忘れてた』と言われてしまうと……それも同じ荷物で何度も『忘れてた』を繰り返すお客様となると、ではこの荷物、どうすればお届けできますか? 本当に届けて欲しいのですか? となってしまいます」
配達員も人間である。荷主(発荷主)と受け取り客(着荷主)との相互契約により、あくまで仕事として請け負っているに過ぎない。
「本音のところ『からかって遊んで楽しいのですか?』と、心の中ではエスカレートして来ます」
これまで何度も置き配、時間指定、そして不在票に関する個別トラブルがメディアで報じられてきた。SNSでも炎上案件の常連だ。配達員の事情を理解しない一部の客は、まるで自分の手下か奴隷のように扱う。
「その荷物が届かなかった為に、配達員はガソリン代とセンターとの往復を自腹で負担します。こうした小さな事案が日々、積み重なるのが日本の配達事情です」
配送業者に雇用されている配達員も苦労が絶えないが、請負で仕事をする配達員は再配達となると時間も経費も個人負担で余分にかかる。1日100個、200個どころか300個配ることもあるという宅配業者、ましてその数百個の事情はそれぞれだ。
「そうですね、大規模マンションはとにかくお部屋がどこなのか初見(初めての訪問)ではわかりません。デザイン性なのかわかりませんがエレベーターの場所がわからなかったり棟ごとにエレベーターがあったり、入口が数か所でさらに中で分かれる建物などもあります。仮にフロアに40部屋もあれば右回りか逆か、エレベーターは各階停止とか、偶数階のみ停止するとか複雑そのものです」
この辺は昔から語られる宅配の苦労話だが、これで時間指定されて不在、となると堪らないだろう。
「アパートやコーポでは表札もなく、部屋番号すら書いてないお客様もいます。そもそも伝票に部屋番号がなかったりもします」