●白内障 『くじら動物病院』(東京都府中市) 伊藤俊太院長

「白内障は眼の中の水晶体が白く濁ってしまう病気です。遺伝や老化、病気(糖尿病等)などにより、犬にも猫にも発症します。人間の場合と同様、基本的に白内障を治せる目薬はなく、根本的な治療は水晶体内容物を取り除く白内障手術になります。現在は超音波乳化吸引装置と折りたたみ型の眼内レンズを用いる方法が主流で、3.2mmの小さな切開で手術できます」

白内障になった12歳の犬の手術前(左)、手術後(右)

白内障になった12歳の犬の手術前(左)、手術後(右)

●悪性腫瘍 『東京猫医療センター』(東京都江東区) 服部幸院長

「猫の腫瘍疾患で最も多いのがリンパ腫(悪性腫瘍の一種)です。対悪性腫瘍治療は外科手術、化学療法、放射線療法が3本柱ですが、第4の治療法として「光線温熱療法」が注目されています。がん細胞を壊死させる光線力学療法と温熱療法を組み合わせた治療法で、手術したくない、抗がん剤を使いたくない、高齢で全身麻酔や手術ができない場合などに選択肢の1つとして検討されます」

●前十字靭帯断裂 『YPC 東京動物整形外科病院』(東京都江東区) 山口伸也院長

「前十字靭帯断裂は、様々な犬種と年齢で認められる膝関節疾患です。前十字靭帯が断裂することによって、膝関節は安定性を失います。手術方法として学術的に推奨されているのが、脛骨の一部を骨切りすることで膝関節を安定させる、脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)です。この手術により、膝関節は安定し早期の機能回復が見込まれます」

左は12歳のポメラニアンの手術前、右はTPLO法でプレートで固定された手術後(写真/YPC 東京動物整形外科病院)

左は12歳のポメラニアンの手術前、右はTPLO法でプレートで固定された手術後(写真/YPC 東京動物整形外科病院)

取材・文/上田千春

※週刊ポスト2022年5月20日号

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