すい臓がん早期診断プロジェクト『尾道方式』
このたび、こうしたリスクの高い人を抽出して検査に結び付ける、すい臓がん早期診断プロジェクト『尾道方式』が構築された。これは地元医師会と地域の基幹病院であるJA尾道総合病院、そして、行政が連携して行なっている。
「尾道方式はJA尾道総合病院の花田敬士先生が中心となり立ち上げました。具体的に説明すると、地域の開業医は危険因子が2つ以上ある患者にスクリーニング超音波検査を実施します。これで膵管拡張やすい臓のう胞が発見されたら、患者をJA尾道総合病院に紹介し、超音波内視鏡や腹部CTなどで診断、必要な場合は治療を開始します。この仕組みが奏功し、尾道市ではすい臓がんの5年生存率が全国平均の2倍以上、約20%に達しました。その結果を受けて尾道方式を導入する自治体が徐々に増えています」(牛尾医師)
すい臓がんは自覚症状がないまま進行することが多い。なによりステージ0であれば、手術での治療が可能だ。発症リスクが高い人は一度、専門医で超音波内視鏡検査を受けてみてはいかがだろう。
取材・構成/岩城レイ子 イラスト/いかわ やすとし
※週刊ポスト2022年5月27日号