芸能

日テレバラエティがなぜ“テレ東化”?「足を使う」番組が増加のワケ

HPより

日本テレビ『1日1便 乗ってきました』はテレ東っぽい?(公式HPより)

 個人視聴率三冠を続ける日本テレビ。テレビ界では“王者”ともいえる存在だが、その日テレがバラエティの番組制作で意外な戦略を見せている。それは“テレ東化”である。いったいどういうことなのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 11日夜、土曜ゴールデンタイムの2時間特番『1日1便 乗ってきました』(日本テレビ系)が放送されます。

 この番組は「1日に1便しかない電車、バス、船、飛行機の終点には何があるのか。ディレクターが終着点の“秘境”に長期滞在し、汗かき取材。するとそこには……ネットで検索しても出てこない絶景!グルメ!愉快な人たちが!」というコンセプトで放送されるロケバラエティ。

 日本テレビと言えばこれまで、多くの芸能人を集めたスタジオ収録の番組や、芸能人の大がかりなロケ番組を中心に、視聴率トップの座に君臨し続けてきました。しかし、このところ『1日1便 乗ってきました』のようなディレクターなどの一般人がメインの“足を使った”番組が増えはじめています。

 たとえば、同じ土曜ゴールデンでは、先月7日に無人島や廃鉱山で各種専門家たちがゼロからお金を生み出す『錬金バトル KASEGE』、3月19日にあるジャンルを極めた人が実際に行っている旅に同行する『推し匠さんの幻ツアー』を放送。どちらも芸能人ではなく一般人をベースに企画された足を使うタイプのロケバラエティです。

 また、今春に大幅なリニューアルを施した土曜19時台の『嗚呼!!みんなのどうぶつ園』も、動物以上に愛おしく思える動物好きな人を“ガチ恋さん”と呼んでスポットを当て、全国各地でロケを敢行しています。

 さらに現在放送中の『沸騰ワード10』『THE突破ファイル』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』『超無敵クラス』『一撃解明バラエティ ひと目でわかる!!』を輩出するなど、新番組の大半を輩出する日曜午後の特番枠『サンバリュ』の傾向もおおむね同様。一般人がベースの企画が目立つほか、芸能人メインの企画でも足を使うタイプのロケバラエティが多くを占めています。

テコ入れが求められる5つの背景

 ゴールデンタイムの番組や新番組のトライアル枠にその傾向が出ている以上、日本テレビが足を使うタイプのロケバラエティを重視しているのは間違いないでしょう。

 その足を使うタイプのロケバラエティは、近年テレビ東京の代名詞となっているコンセプトの1つ。『家、ついて行ってイイですか?』や『YOUは何しに日本へ?』から、新番組の『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』まで、ディレクターたちが足を使うタイプのロケバラエティで視聴者の支持を獲得しています。

 また、『ポツンと一軒家』を手がける大阪の朝日放送や、『ヒューマングルメンタリー オモウマイ店』を手がける名古屋の中京テレビなど、キー局以外が全国放送の番組を制作するときの手法とも言えます。

 ではなぜキー局のトップに君臨する日本テレビが、テレビ東京や大阪・名古屋のテレビ局と似たコンセプトのロケバラエティを選んで放送しているのでしょうか。

 これまで日本テレビは、「ドラマを22時以降に集め、1時間のバラエティを3~4番組並べる」「安易に特番に頼らず1時間のレギュラー放送を重視する」というバラエティを軸に据えた王者ならではの戦略を採用してきました。

 しかし、「PUT(総個人視聴率)が急激に下がっている」「日本テレビのバラエティに“勤続疲労” が見えはじめている」「YouTuberなどに企画を模倣されている」「有名タレントの起用が視聴率につながりにくくなっている」「コロナ禍もあってCM収入維持が難しい」などの背景から、何らかのテコ入れが求められる状況になっています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン