駅ナカを中心に、全国20都府県に199店舗(2022年6月中にオープンする店舗を含む)を展開し、今年創業95周年を迎えたスーパーマーケット「成城石井」。ズラリと並んだ商品を眺めているだけで時間が経つのを忘れてしまうほどの品ぞろえは、まるで食のテーマパーク!
輸入食品を扱うスーパーはいまでこそ数多く見られるが、その中で、いち早く自社輸入を開始したのが「成城石井」だ。
1984年より商社を通さず自社輸入することで、中間マージンを省き、手に取りやすい価格を実現。ワインからお菓子、調味料など、ほかでは見ない豊富な品ぞろえと品質には定評がある。
その理由を、同社商品部の小林さゆりさんはこう語る。
「“世界の食品を世界の街角の価格で”をコンセプトに、27人のバイヤーが日々尽力しています。取り扱いアイテムは、現在1万点以上ありますが、お客様には『選ぶ楽しみ』をお届けしたい。そのため、たとえばドレッシングだけでも100種類以上をそろえています」
これだけの商品を極力欠品させず、安定供給し続けることもバイヤーの責任となるが、商品の買い付けに欠かせないのが調達力だ。
「バイヤーとしての経験値や、ブームが来ることを見越して半歩先のニーズを見極めることを心がけています。そして何より、必ず味を確かめて比較検討すること。たとえば『ハンターズ 黒トリュフフレーバーポテトチップス』などは、トリュフ人気の高まりに着目して買い付けた大ヒット商品です」(小林さん・以下同)
バイヤーの仕事は国内外の仕入れだけではない。いまや成城石井の柱の1つとなっている「オリジナル商品」の企画開発も行っている。
「一般的なPB(プライベートブランド)とは異なり、理想の商品が見つからなかった場合に、よりお客様がお望みのものをお届けするためにオリジナル商品を企画します。開発会議を通り商品化されるのは、わずか2〜3割。経験のあるバイヤーが担当していますから、味の追求にも妥協がありません」
このようにひとりで何役もこなすバイヤーは、さぞ特殊能力の持ち主だろう、と思いきや、資格などの決まりは特にないというから驚きだ。
「共通点があるとすれば、店舗スタッフを数年経験している、ということです。お客様のご要望を知るためにも、現場を知っていることが最も重要な要素と考えています」
成城石井の商品の主なカテゴリーは4種類
自家製商品
「セントラルキッチン」で調理人が開発・製造する本格的な総菜やデザートなど。自社輸入の強みで、高品質な素材や調味料を使用できる。
自社輸入商品
バイヤーが海外へ直接出向き、目と舌で見つけた商品や原料を自社で輸入。成城石井で輸入したものを他店に卸す場合もある。