遺体の輸送には多くの手続きと処置が必要になる。大型輸送機から運び出される戦死米兵のひつぎ(イメージ、EPA=時事)

遺体の輸送には多くの手続きと処置が必要になる。大型輸送機から運び出されるイラク戦死米兵のひつぎ(イメージ、EPA=時事)

日本の医師は外国船籍船内での検死を避けたがる

 葬儀会社に聞くと、遺体の確認が船内で行われた後、遺体を下船させ、医師が記入した死亡診断書を葬儀会社が寄港地の役所へ提出するという。遺体で送還する場合、死亡原因を明確に書いたうえで、他国に送還することになる。他国に遺体を送還するには、葬儀会社によってエンバーミングが施されなければならないことが多い。そして大使館や領事館のある都市に遺体を移送し、在日の当該大使館や領事館の担当者によって遺体が確認された後、飛行機で輸送されることになる。

 国境を越えて遺体を送還する時に認証が必要になる国が多い。遺体の認証とは、当該大使館や領事館の担当者が遺体の本人確認、死亡事由の確認とともに、送還する遺体をどのように処理して、この棺に納めたのか見届けたので封印しますというものである。国によっては、この認証がなければ受け入れてもらえない。その理由のひとつは、遺体の死亡原因を明確にするためである。死亡原因が未知のウイルスや細菌によるものではなく、送還しても自国の国民に何ら影響を与えないと証明しているのだ。(送還までの流れや必要な書類などは送還先の国によって少しずつ異なる)

 死亡診断書がなければ葬儀会社は遺体を動かせないし、エンバーミングを施すこともできない。そのため医師に検死を依頼するのだが、日本の医師は、この外国船籍の船内での検死をひどく嫌がるのだと医師は明かす。

「日本の医師には、そのような状況での検死経験がないということもあるが、どのような原因で亡くなったのか、その場で判断するのが難しいことが大きい」と、その理由を説明してくれた。

「船舶内での検死は、遺体を見るだけでは判断が困難だ。デッキから下の貯蔵庫に転落し、頭を打って亡くなったと聞かされても、もしかすると船員同士の喧嘩で殴られたかもしれない。突然、倒れて亡くなったと証言されても、船内で何らかのウイルスが発生したのかもしれない」

 ウイルスと聞き、2020年2月、横浜港に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号での、新型コロナウイルスの集団感染を思い出した。

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