国際情報

中国河南省、41万人の銀行預金凍結に大規模抗議 不動産融資で資金不足

デモ行進や集会を実施していたところ…

まるで「取り付け騒ぎ」のような事態に

 中国河南省鄭州市では7月10日、約3000人の市民が中国人民銀行鄭州支店の前で「習近平の『中国の夢』は破れた」、「李克強総理は金を返せ」などとの横断幕を掲げて、デモ行進や集会を実施していたところ、白ずくめや黒ずくめの服を着た暴漢が市民に殴りかかり、多数の負傷者が出るという事件が起こった。

 市民らは地元銀行などの預金が凍結され、引き出せなくなったことから抗議行動を起こしたが、騒ぎが大きくなったことを危惧した省幹部らが地元の暴力団組織である「黒社会」メンバーを雇って、市民らを襲撃させ、騒ぎを納めようとしたという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。

 河南省では今年4月下旬、河南汝州新民生村郷銀行、浙江黄海村郷銀行、上蔡恵民村郷銀行、開封新東方村郷銀行の4行の預金者約41万3000人、預金総額で約400億元(約8000億円)分が事前の連絡もなく凍結された。預金者は銀行に問い合わせや抗議をしたが、事態は一向に改善されなかった。それどころか、 6月中旬には、ほぼすべての預金者が新型コロナウイルスの感染予防アプリを通じて、ウイルスに感染しているという「レッドコード」(行動禁止)を受けたという。アプリは地元当局が管理しており、意図的に、預金者を感染者に仕立て上げたとみられる。

 その後、これら4行だけでなく、中国の大手銀行である中国招商銀行、工商銀行、建設銀行、農業銀行などでも、多数の市民への預金凍結措置が発覚したことで、市民の怒りが爆発し、7月に入って大規模な抗議行動に発展した。

 これに対して、警察側では大音量のスピーカーを使って「この集会は違法だ」と群衆にその場を離れるよう求め、「撤退せず、秩序を乱し、社会の正常な秩序に影響を与えるならば、法に基づき措置を取り、重大な行動を起こすだろう」と警告した。

 その1時間後、白ずくめや黒ずくめで手に鉄棒などを持った暴漢数十人がデモ隊に乱入し、殴る蹴るなどの暴行を振るった。骨折などのケガをした多くの市民は、鄭州病院で救急治療を受けた。

 多くの銀行が多くの預金者の預金凍結措置をとった背景には、銀行側が不動産業者に貸し付けた資金が焦げ付いたことから、銀行の余剰資金が欠乏し、一般預金者への支払いができなくなったことがある。

 RFAによると、中国の住宅販売件数は11ヶ月連続で減少しており、1990年代後半に同国に民間不動産市場が誕生して以来、最大の減少幅を記録するなど、中国の不動産セクターは大きな課題を抱えているという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン