「安倍さんが亡くなった日の夜、菅さんと話をしました」
そう明かすのは安倍ブレーンとして知られたジャーナリストの長谷川幸洋氏(元東京・中日新聞論説副主幹)だ。菅氏の心中をこう推し量ってみせた。
「菅さんに『安倍さんの遺志を継いでほしい』という話をした。答えはネガティブでした。菅氏自身に再登板の気持ちはない。むしろ、菅さんがこれからやろうとしているのは政策で一致するグループづくりです。そして若い政治家を応援すると言ってきた。それなら派閥ではないから、菅政策グループには安倍派の議員も、維新の議員でも参加できるわけです。
これを前提に考えると、菅さんが思い描いているのは、安倍改革路線を引き継ぐ保守勢力をまとめ、そこに安倍派の政治家や維新の政治家が加わり、菅氏を中心に改革を推進していく。そんな新たな政治勢力づくりではないか。権力の座はその中の誰か、有力な議員が担えばいい。そういうイメージだと思う」
安倍氏が残した政治基盤のうち、「改革路線」とベンチャー経営者などの支持層は菅氏を中心とする改革派グループが受け継ぎ、憲法改正や安保政策とコアな保守層の一部は自民党タカ派が継承しようと動くなど、2つの流れに分かれようとしている。
(後編につづく)
※週刊ポスト2022年7月29日号