スポーツ

羽生結弦を支え続けた家族の力 母親は海外拠点にも帯同、“恋”を止めたことも

2018年の平昌五輪では、男子フィギュアで66年ぶりの快挙となる2連覇を果たした(2018年2月。時事通信フォト)

2018年の平昌五輪では66年ぶりの2連覇。そんな羽生を支えた家族とは(2018年2月。時事通信フォト)

 支えてくれた人たちへの感謝を、羽生結弦(27才)は会見で何度も繰り返し口にした。シニアデビューから12年、ジュニアから通算するともっと長く没頭してきた競技人生の傍らには必ず、会見では触れなかったが、母親の姿があった。仙台からカナダ、ソチから平昌。母と息子は一心同体となって、限界まで走り続けた。

 7月19日、羽生が都内で会見を開き「プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意いたしました」と競技の第一線を退く意向を表明した。

 最後の4年間は4A(4回転半ジャンプ)という大きな目標を掲げながらも、深い葛藤の狭間で苦しんでいるようにも見えた羽生。そんな彼を支え続けてきたのは、家族、とりわけ母親だった。

 3連覇への期待を背負いながら4位入賞という結果に終わった今年の北京五輪。直後の会見で語ったのは、五輪への率直な「恋心」だった。

「このオリンピックが最後かと聞かれたら、ちょっとわからないです。オリンピックはやっぱり特別。何より、けがをしても立ち上がって挑戦するべき舞台はフィギュアスケートで、そんなところはほかにはない。また滑ってみたいという気持ちはあります」

 そして、「挑戦とは?」との問いに対しては、「守ることも挑戦だと思う」と答え、こう続けた。

「大変なんですよ、守るって。家族を守るのも大変なことですし、何かしらの犠牲や時間が必要だったりもしますし」

 家族──その存在は確かに、羽生が世界の頂点に立つために、欠かせないものだった。杜の都・仙台。羽生はその街の北西エリアに生まれ育った。家族は両親と姉。家賃5万円の県営住宅に暮らす、特別に裕福なわけではない普通の家庭だった。4才で始めたフィギュアスケートは、お金がかかる競技だった。

「フィギュアはコーチ代や遠征費用など、上を目指すほどお金がかかるスポーツ。羽生くんが小学生の頃、一時“スケートをやめるかどうか”家族間で話し合われたこともあったそうです。でも、お母さんが“私がパートを増やすから”と、続けることを決めたそうです」(羽生家の知人)

 競技を彩る華やかな衣装にも費用がかかる。世界選手権に初出場した2012年頃まで、母親の手作りの衣装を着ていたという。羽生自身もその頃を振り返り《夜更かししてまで衣装を作ってくれる母親の愛情を感じながら滑っています》と語っていたことがあった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン