文部科学省の「学校基本調査」によれば、“ベルばら”が描かれた1970年代前半の女性の大学進学率は10%前後で、25〜29才の未婚率は18.1%(総務省「国勢調査」より)。つまり8割以上の女性が29才までに結婚していた。そして、結婚したら女性は家庭に入って家事育児に努め、働きに出るには夫の許可が必要な時代だった。
こうした時代において、女性でありながら信頼を勝ち取り、男性の部下たちを従えるオスカルの姿は、女性たちの希望となったのだ。
「オスカルと結ばれる幼なじみのアンドレも斬新な男性像でした。地位も能力もオスカルにはかないませんが、愛する女性を一途に支える。その姿は、当時の女性たちにも新しい理想だったと思います」
“ベルばら”はいまも女性の意見を代弁
連載終了から13年後の1986年、男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が促された。それでもいまだ、女性は真の意味で自由ではない。働きに出られるようにはなったものの、女性の労働環境やセクハラ問題はいまだ解決されておらず、ジェンダー・ギャップ指数はG7(主要先進国)中、日本は最下位(「ジェンダー・ギャップ指数2022」世界経済フォーラム報告書より)だ。
フランス革命を通して描かれた日本の女たちのジェンダー革命—『ベルサイユのばら』が世代を超えて50年間愛され続けてきたのは、この作品が女性の声をいまも代弁し続けているからなのかもしれない。
取材・文/上村久留美 取材協力/前川亜紀
※女性セブン2022年8月18・25日号