150キロを超える剛速球でならした関戸のボールを受けさせて、西谷監督も松尾の適性を測ったのだろう。松尾はU-15侍ジャパンの正捕手を務めるような先輩捕手を差し置き、正捕手に。昨春から4季連続で大阪桐蔭のマスクをかぶっている。
昨今は携帯電話の使用を許可する学校が大半で、練習中もスマホを使って動画を撮影し、それを部員で共有してレベルアップに活用したりする。
「大阪桐蔭では携帯が持てないですし、甲子園出場校などもテレビで知る感じでした。自分たち、情報が遅いです(笑)。動画撮影も、ビデオカメラで撮っては消しての繰り返しです。携帯は使えなくても、野球に集中するためにここに入って、野球を第一に考えて生活する環境。そういったところも、他のチームにない強みだと思います」
野球センスの塊のような選手で、捕手としてスローイングやキャッチングも高いレベルでそつなくこなすが、捕手としての日が浅いからか荒さもある。松尾がプロ志望届を提出するとなれば、今秋のドラフトでは間違いなく上位候補だが、捕手とショートのどちらの将来性を買うかは球団によって意見が分かれている。本人は──。
「正直、まだまだ捕手は難しいし、経験もないんですけど、ようやく捕手の面白さが分かってきて、投手をリードする楽しさもある。(捕手かショートかは)その時の立場で……」
いまだ春夏連覇への道半ば。未来の話に踏み込むのはもう少し先でいいだろう。