国内

安倍氏国葬、警戒されるローンウルフ型テロ “社会の混乱”を狙う犯罪への懸念

様々な犯罪に警戒する必要がある

様々な犯罪に警戒する必要がある

 政府は安倍晋三・元首相の国葬の予算を「2億4940万円」と閣議決定した。これは日本武道館で行なわれる式典だけの金額だ。内訳は、会場の借り上げ料が約3000万円、式壇などの設営費が約2億1000万円である。

 国葬には海外から数百人規模のVIPの参列が予想され、サミット並みの警備体制が敷かれる見込みだが、その費用は含まれていない。

 政府は国葬の警備費について「現段階でいくらかは言えない」と誤魔化したが、国民や野党の批判が強まると、松野博一・官房長官が会見で「要した経費は国葬後にお示しする」と言明。コロナ感染から復帰した岸田文雄首相も「国会で説明する」と対応に追われた。

 国葬後に、「本当の費用」の“請求書”が国民に回されるということだ。

 本誌・週刊ポスト前号(2022年9月9日号)で、警察官の超過勤務費など追加で必要になる国葬の警備費用だけで約26億円にのぼるという試算を報じた。これまでの警備費を見ても、昭和天皇の「大喪の礼」(1989年)が約24億円、2016年の伊勢志摩サミットではなんと約340億円かかっている。

 それに匹敵する厳戒態勢が敷かれると見られるのは、過去、日本の国葬級の葬儀で何度もテロが起きた経緯があるからだ。

 大喪の礼の前には極左集団が「東郷神社本殿爆破事件」を起こし、当日は葬列の進路である中央自動車道の切り通しを消火器爆弾2個で爆破した。

 安倍氏の大叔父である佐藤栄作・元首相の「国民葬」でも、遺骨を出迎えるために武道館の玄関前で待機していた当時の三木武夫・首相がサバイバルナイフを持った右翼団体メンバーに襲撃され、殴打される事件が起きた。

 当時とは時代が違うが、現在もコロナ禍で社会不安が醸成されている。板橋功・公共政策調査会研究センター長が言う。

「現在は組織的なテロが少なくなり、主流は1人で犯行を計画する『ローンウルフ型』の犯罪です。日本でも1人で過激化する犯罪が増えていて、社会への不満が犯行の動機になるケースが多い。

 国葬当日は空港や会場、周辺の道路など会場は厳重に警備されて近づけない。そうした点を考えると、葬儀そのものや要人を直接狙うというより、事件を起こして社会を混乱させることを目的とする犯罪も警戒すべきです」

 だからこそ、警備費が膨らんでいくのだ。

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン