国内

安倍氏国葬“喪主”昭恵夫人に厳戒警備 首都高封鎖、沿線全ビル屋上に警察官配置も

“喪主”の昭恵夫人にも厳重な警備が必要

“喪主”の昭恵夫人にも厳重な警備が必要

 本誌・週刊ポスト前号(2022年9月9日号)では安倍晋三・元首相の「国葬」にかかる経費が、閣議決定された予算「2.5億円」では到底収まらないことを明らかにした。特に巨額の費用がかかるのが、予算に含まれない「警備費」だ(9月6日には警備費等を含めて16億6000万円の見積もりを公表)。各国から多くの要人が集まるなか、数十億円を投じて行なわれる「テロ対策」とはどのようなものなのか。専門家の協力のもと、その内容を検証した。

 最重要課題は「VIP」の警護だ。政府は参列者を会場まで送迎するために定員45人以上の大型バスを105台チャーター。5000人近い参列者を一度に送迎できる輸送力だ。

 内閣府は「バスは11~17時の借り上げ時間で、主に千代田区内の関係機関から武道館へのピストン運行を予定している」と説明するが、送迎バスに乗るのは国会議員や都道府県知事などが想定され、海外のVIPは個別の送迎となる見込みだ。

 この警備が最も骨の折れる仕事になる。銃撃で亡くなった元首相の国葬で、海外の参列者に何かあれば政府にとって大きな汚点になってしまう。

「大喪の礼」の要人警護体制を調べると、海外のVIPにはものものしい警護がつくことがわかる。VIPを宿舎(ホテル)から会場まで送迎する車列は、先頭と最後尾に白バイが配置され、パトカー、VIPが乗る賓客車、随員車、不測の事態の対応にあたる遊撃車など7台の車列による厳戒態勢が組まれた。

 今回もその前例が踏襲されると見られる。また“喪主”の昭恵夫人と安倍氏の遺骨は海外のVIP以上の警護対象だ。

 佐藤栄作・元首相の国民葬では、参列者が着席した後、寛子夫人が遺骨を持って入場し、式典が開始される手順で行なわれた。その遺骨を出迎える際に三木首相が襲撃されたが、遺骨も夫人も無事だった。

 佐藤元首相のSPを務めた金井祐一・元警視長はこう振り返る。

「国民葬の時は、私は国家公安委員長の警護担当でしたが、同僚のSPが佐藤さんの奥さんとご遺骨を護りながら一緒についていきました」

 今回も昭恵夫人が遺骨とともに自宅から会場に向かうとみられる。警視庁警備部などで勤務した経験を持つ作家・濱嘉之氏はこう指摘する。

「東京都渋谷区の富ヶ谷から武道館まで、首都高4号線を使って送迎することになると思います。移動の1時間前から、首都高は初台から神田橋までを通行止めにしてカラッポにして、パトカー数台と白バイ数台が先遣隊としてコースを見て回る。代々木公園の近くにある高速入口までは下道ですが、高速に乗ればほかの車の心配はなくなる。

 ただこうしたVIPを送迎する時は、沿線にある首都高を見下ろせるすべてのビルの屋上に1人以上の警察官を配置し、各部屋に首都高側の窓を閉めるように指示する。こうした作業が終わると『完クリ』(完全クリア)と呼ばれ、それを確認して出発する」

 国葬として海外からVIPを招くとなれば、全力をあげて警備にあたるのは当然だ。ただ、だからこそ改めて、世論が二分されるなかで国葬を強行する岸田首相の判断が正しいのか、大きな疑念が生じることになる。

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン